ミャンマーとアフリカ、日本の戦略的射程はどこまでか

 ミャンマーの仕事を始めるとき、私はこう言った。「年齢的に、ミャンマーは人生最後の仕事にしたい。私にとって最後のフロンティアかもしれないが、ミャンマーの次は、北朝鮮がすぐに崩壊しなければ、おそらくアフリカだろう」

 それが当たったようだ。最近の日本は、ミャンマーや東南アジア以外に、アフリカ一色だ。脱中国という主旨には賛成だが、一気に射程をアフリカまで広げるのはいかがなものかと思う。

 アフリカに適したビジネスはもちろん、どんどん行ったほうがいい。ただ日本人や日本企業がブームに弱いので時流に流されないように注意が必要だ。ミャンマーの次には、ナイジェリアという突拍子もないことで、喫驚しているわけでもなく、論理的な思考を呼びかけたい。

 アフリカ大陸では、中国がはるかに日本の先を走っている。そこで中国と戦うのに、確かに「価値観外交」は大切だ。中国は資源収奪しているのに、日本は雇用創出や教育に貢献する。このようなアプローチも有効とは思うが、一気呵成に追い上げを求めてはならない。アフリカ自身もしたたかで、日中を競い合わせて利益最大化を図るだろう。その辺の諸要素をもう一度整理する必要もあるだろう。

 日本企業にとって、現実的かつ最大公約数的な射程は、アジア域内でミャンマーまでではないだろうか。バングラやインド、パキスタンは、もはや属性的にアジアであっても、中身はアジアではない。地政学的にもアプローチがかなり困難で取引コストがかかる。だから、多くの企業にとって現実論でいけば、当座アジアであろう。

 ただ、今までの不作為を改めて、アフリカへの布石は国家戦略的に間違った結論ではない。切り口やアプローチなどの点で、もう少し磨き上げる必要があるかもしれない。いずれにしても、今回こそ、日本は本気で変わろうとしているようだ。

 頑張れ日本、アフリカに夢を持て!