確証バイアス、そうあってほしい「自己的結論」と戦う理性

 確証バイアス(Confirmation Bias)という認知心理学、社会心理学の用語がある。

 自分の好きなもの、信じていること、やりたいこと、慣れ親しんでいる価値観(世界観)、希望的観測(そうあってほしい)などなど、固定観念、あるいは「自己的結論」で一括りしようか。そうした「自己的結論」を検証するために、確証バイアスを生み出す。

 見たいものだけを見て、聞きたいものだけを聞くという状況を作り出すことである。結果・結論ありきで、その「自己的結論」を裏付ける情報を選択的に選び、自分に、「これは確証できる」と言い聞かせる。逆に、その「自己的結論」に反証となるような証拠を無視したり、探そうとも見ようともしない。

 たとえば、政治家は自分の信条や主張に都合のよいことしか言わない。さらに、偏向報道もそうだ。その媒体のイデオロギーを裏付けるニュース(事実)しか報道しない。

 われわれ一人ひとりの人間も実は、毎日この確証バイアスの支配下にある。たとえば、中国でビジネスをやっている人が、中国経済の不調ないしハードランディングといった根拠や論点を聞きたくない。そうなってほしくない。それ故に、中国経済はまだ大丈夫だという根拠ばかり集め、これらをも出して反論する。

 さらに例を挙げると、マレーシア移住もそうだ。日本国内の閉塞感やリスクから、移住という道を選びたい。そこで人気ナンバーワンの移住先としてマレーシアが浮上する。そこから、移住セミナーなどに出向いて情報を集める。そういったセミナーではもちろん移住前提の情報が意図的に選択されているから、知らずに確証バイアスに陥っていく。

 偏向報道が批判されているのだが、実はわれわれ一人ひとり、無意識的に、日々自分の聞きたい、知りたい、そうあってほしいといった偏向情報を欲しがっているのだ。だから、偏向報道が売れるのである。そもそも読者が欲しがらないコンテンツを売ろうとするメディアなんていない。

 まあ、そういう意味で、われわれ一人ひとりも「偏向人」であり、常に確証バイアスを知らずに日々やっているわけだ。そこから意図的に脱出するために、「自己的結論」に反証となるような事実を常に入手して論理的な分析が欠かせない。

 まず、「でも」族からの脱出。自分が好きではない、見たくない、聞きたくない、そうあってほしくない事実や情報、観点に対し、まず「でも・・・」と反論から切り出す。その「でも」というのは、せっかくの反証を自ら抹殺する愚行であり、まさに確証バイアスの典型的な症状である。

「確証バイアス、そうあってほしい「自己的結論」と戦う理性」への2件のフィードバック

  1. 全面的に賛成です。

    確証バイアスには注意しなければなりませんね。

    確かに個々の企業をとってみると、業績を上げている企業はあります。ユニクロなどは、中国に限っては増収増益という例外的な数字らしいですが、なかなかこういう企業はありませんね。しかし、ユニクロだっていけているんだから、何か方法はあるはずだと考えてしまいますよね。人間のサガというものでしょうか。

    ・・・われわれ一人ひとりも「偏向人」であり、常に確証バイアスを知らずに日々やっているわけだ。

    このお言葉が心に染みます。

    立花先生にも、「好きではない、見たくない、聞きたくない、そうあってほしくない」、そんな情報や事実があるのでしょうか。

    1. 五十嵐さん、私ですか。「好きではない、見たくない、聞きたくない、そうあってほしくない」、そんな情報や事実はた~くさんあります。まず中国経済の話、日中関係の話、個人的には本音悪くなってほしくない。正直自分の仕事もかかっているわけですからね。そういう意味で、確証バイアスに陥るリスクもありました。このため、反証となる情報や事実に意識的に目を向けるようにしています。

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