他の客を打ち負かせ、「私は成金だ」流の中国商法

 私が所持する中国系銀行のクレジットカードの2015年「年間消費総括報告」がやってきた。

 私の場合、出張などの会社経費も私用とまとめて一枚のカードを使っているので、年間支出総額が高額となる。これは予想していたことで特に驚かないが、そのカード会社の文言には少々驚かされた。

 まず、「おめでとうございます。あなたのカード年間消費総額は、99.84%の招商銀行カード保有者を打ち負かした」。日本だったら、「あなたは上位0.16%の高額消費者です」になっているのだろう。

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 さらに、消費総額の番付に入る。地域別ランキングでは、「あなたは、100%の同地域カード保有者を打ち負かした」。年齢別ランキングでは、「あなたは、100%の同年代カード保有者を打ち負かした」。そして、性別ランキングでは、「あなたは、100%の(同性?異性?)同胞に崇拝される」という意味不明な番付もついてくる。

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 最後に、前年度消費総額の比較をもって、「Wo Shi Tu Hao(我是土豪)」(私は、成金だ)で締め括られる。

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 上位顧客は上位でよく、何も他の相対的下位顧客を「打ち負かす」必要はないのではないか。と思いがちだが、いや、それは中国では、打ち負かすことが必要なのである。この手法は、日本人になかなか理解されないかもしれないが、実は中国の企業経営現場では、対外的に消費者心理のマーケティングへの活用から、企業内部の人事管理・従業員統制まで、幅広く使われているのである。

 この辺の詳説は、顧客レポートに別途まとめさせてもらう。

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