中国に売り込めない日本、原因はここにある

 中国という大きな市場を狙っている日本だが、いつまでも中国に思い切って売り込めていない。原因はどこにあるのか?

 大分県は中国との取引拡大を狙う県内企業や農林水産業の事業者を組織化し、セールス団として9月27日~30日に上海に派遣する。9月下旬に上海万博で予定されている「九州・沖縄ウィーク」に合わせ、セールス団は同27~29日に上海の商社や旅行会社、百貨店、スーパーなどを訪問し、自社商品を売り込む。同29日は上海の行政関係者らを招いた懇親会を開催、広瀬勝貞県知事が県産品や観光地のトップセールスを行う(2010年8月4日付日本経済新聞記事抜粋)。

 このようなニュースはよく目につく。

 逆に質問しよう。日本国内市場で、「安徽省物産展」や「山西省フェスティバル」、あるいは「福建プロモーション」をやった場合、日本人消費者にピントは来るだろうか。だが、「Made in China」はいま全世界、どこにいっても認知されているだろう。
日本の場合、中央集権というのに、中国向けの売り込みだけは、各地方がばらばらでやっている。県単位でいくと、どうしても日本国内での自慢商品を出したがる。一方的な情報発信である。中国現地消費市場のマーケティングをまともにやっているケースはほとんどない。中国人消費者の目で物を見ているのだろうか。中国人消費者の心理や嗜好でものを考えているのだろうか。

 物産展の来場者数は、一過性のものに過ぎず、商品にリピーター消費者は付かない。中国市場への売り込みはいつまでも成功しない。物産展自身も、経費の無駄遣いと役人の自己満足に過ぎない。

 いま、日本に必要なのは、「大分ブランド」でも「秋田ブランド」でもない。「日本ブランド」だ。「Made in Japan」は高い付加価値がついている。国を挙げて売り込んでほしい。中国向けの売り込みは、地方行政から一括権限を吸い上げ、ナショナルブランドの構築に国家総力を挙げるべきだ。

 これこそ、国家戦略だ。民主党が作った「国家戦略室」はいつの間にか聞かなくなったが、ここが出番だよ。寝ている暇ないぞ。

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