背筋凍りつく理性的な中国像、長い冬の先に春やってくるか

 田中直毅氏「中国大停滞」(日本経済新聞社)を一気に読み終えた。

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 特に難しいことは何一つ書いていないが、経済、金融、歴史、政治、文化と複眼的に根拠を並べ、論理的かつ理性的に中国像を描き上げた素晴らしい一冊である。

 中国に関して、経済崩壊とか破滅とか、いわゆる感性的な書物が氾濫するなか、ここまで理性的な論で固められた中国像を提示されると、逆に背筋が凍りつく思いである。

 氏が語る――。「中国は長い『冬の時代』に入ろうとしている」

 「長いトンネルを抜けると雪国であった」という川端康成の名句は空間の表現であったが、長い「冬の時代」は時間の表現であり、そして「その先に春がやってくるか」という疑問が浮上する。田中氏はあえて答えを出していない。ミステリーを残すかと思いきや、いや実は答えが見えている。

 越冬。冬の季節を越すことで春の到来、つまり四季の存在を前提にしている。しかしいざ、この常識が覆されたとき、越冬ならぬ「常冬」の準備をしなくてはならない。

 冬の世界へようこそ!

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