マレー東海岸の旅(6)~コタバル随一のハラール中華料理

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 8月17日(水)、コタバル宿泊の日。夕食は市内のユニークな中華レストラン「Four Seasons」(漢字名:四季庁)へ。

160817-1839-Kota Bharu-Four Seasons Restaurant

 クランタン州では、ハラール認証を取得した中華レストランとしては「Four Seasons」が初めて。中華といっても、マレーとタイとミックスしたメニューが面白い。

 まずは素材系から、カンポン(Kampung)チキン、地鶏のシンプル塩揚げ。鶏肉の血色がよく野性的で引き締まっている。何よりも塩だけで揚げるのが一番。酒がほしい。けれど、コタバルはマレーの街であるから、酒は一切なし。我慢!

160817-1858-Kota Bharu-Four Seasons Restaurant-地鶏塩揚げ

 次に、ソフトシェルクラブの塩玉子黄身揚げ。ソフトシェルクラブは珍しくないが、中華の塩玉子黄身とコンビを組ませるのが凄い発想だ。黄身の濃厚なフレーバーが蟹の淡白さを引き立て、絶妙なハーモニーを織り成す。

160817-1858-Kota BharuFour Seasons Restaurant-ソフトシェルクラブの塩玉子黄身揚げ

 3品目は野菜のミックス炒め。具材もミックスだが、味付けも中華、マレーとタイのミックスである。なんともいえない風味だ。コタバルは国境の街である。市内から25分車を走らせると、そこはタイとの国境である。ローカル料理はタイの影響を受けている。

160817-1925-Kota Bharu-Four Seasons Restaurant-野菜炒め

 タイといえば、スープは当然定番のトムヤムクン。これはまた、地味。高級タイ料理に出てくるような派手な具材は一切なし。郷土料理としての貫禄はまさにこの地味さにある。

160817-1924-Kota Bharu-Four Seasons Restaurant-トムヤムクン

 最後に、ご飯と一緒にいただくのがこれ――深海スズキのニョニャ風蒸し。絶品だ。味はご想像にお任せする。プラナカン的に、父系(ババ)の中華料理の食材に、母系(ニョニャ)のマレー人女性が香辛料を調理のスパイスとして取り入れた、見た目が中華で味がマレー的な料理がニョニャ料理と呼ばれている。この一品を食べれば、深く納得する。

160817-1931-Kota Bharu-Four Seasons Restaurant-深海スズキのニョニャ風蒸し

 お酒のない清らかで豊穣な夕食であった。勘定〆て1人あたり85リンギット(約2500円)。マレーシアって本当に素晴らしい国だ。田舎に来れば来るほどこれを実感する。

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