「互酬人」と「経済人」の話

 読者から興味深いコメントが寄せられたので、以下抜粋転載する。

 人は生きて行く上で、友達、学校、コミュニティ、職場といった環境を非常に意識しています。これを行動経済学では「参照グループ」と言います。

 「参照グループ」で他の人の利得に貢献するように努力すると、巡りめぐって評価され、昇給、昇進、リーダーといった形で自分に利得が得られます。これを「間接的互酬」と言います。

 多くの人は人生の大半を「間接的互酬性」の価値観の下で生きています。そこで時に今回のような若いかたの悲しい過労死も起きてしまいます。「間接的互酬性」の世界の人間を「互酬人」と言うとします。

 「互酬人」は自分たちのルールだとして、不公正な結果や意図で処罰することがよくあります。ここで合理的にものごとを考える「経済人」が「互酬人」に混じって競争すると、たいていは「経済人」が勝利することになります。

 このたびの税制改革案や富裕層の海外資産フライトの包囲網強化もこれに似ているように思います。ここで「経済人」としては合法的節税にまた知恵を出して行くことになると思います。

 飛躍になりますが、過労死された若いかたが少しでも「経済人」の意識があれば、自分の命を差し出す取引をすることはなかったのではと悔やまれます。