経済低迷に関係なく元気な客とは?中国市場の新思考

 上海出張中。街には元気を感じられない。

 「人民元は向こう2年でドルに対して17%下落する」。10月13日付けのブルームバーグ記事がドイツ銀行の観測を引用し報じた。

 経済低迷にもかかわらず、不動産市場は異常な過熱傾向を呈している。この不動産市場の抑制に加え、中国の緩和的な金融政策と米利上げ、さらに政治的な風向きもあって、資本の流出は止まらない。

 中国の改革開放と偏った経済成長によって、貧富の格差が広がった。ただこの分配の受益者たちから、既得利益を収奪したり、あるいは再分配したりすることは基本的に不可能だ。

 だとすれば、集団(階級的な意味も含めて)も固定しつつあり、マーケティング的な意味において、セグメンテーションがかなり明確化しているし、取り組みやすくなっているのかもしれない。

 一時、中国の富裕層への売り込みが流行っていたが、日系企業で大成功している事例はほとんど聞かない。多くの日系企業では、日本市場で築き上げたマス向けのビジネスモデルが定着しているだけに、新たな発想が生まれない。

 中国市場の景気、その好不況に影響を受けないビジネスとは何か?それは、経済成長の既得利益者層相手以外考えられない。経済がどんな凋落しても、活力に溢れる真の中国人富裕層市場に取り組めるのか?日本企業は残念ながらあまり期待できない。