福岡空港保安警備上のリスク(1)~受託手荷物保安検査の不備

 2016年12月5日、私は福岡発の中国国際航空CA916便で上海へ向かうため、福岡国際空港国際線ターミナルを利用した。

 その際、同ターミナルの保安体制に重大と思われる瑕疵があったと認識し、空港保安警備会社NISIK(以下、「NISIK社」という)ならびに空港警察の現場担当者に懸念を繰り返し申し出たにもかかわらず、真摯な対応を得られなかった。

 私は公益目的に基づき、本件をブログにて公開したうえで、国土交通省と国家安全委員会・警察庁にも主旨を報告し、早急な改善を求めたいと考える。

1.受託手荷物保安検査上の重大なリスク

 民間航空機の乗客荷物の保安チェックは通常、預け入れ荷物(受託手荷物)と機内持ち込み荷物と大別される。私が今回問題提起したいのは前者である。

 私は50か国以上への旅行や出張で数多くとはいっても、やはり限られた国際空港の利用経験からいうと、一般的にチェックインカウンターで荷物を預け、その荷物がカウンター内部に設置されたX線検査を受けるような仕組みになっている。

 しかし、福岡空港国際線ターミナルでは、以下の独自の保安検査形態を取っている――。

 ①チェックインカウンター外のX線検査を受け、そこで小さな「チェック済み」シールを荷物開口ロック部分に貼り付ける。→ ②乗客がその荷物を一旦受け取り(乗客の保管下にある)、チェックインカウンター前で列をなして、チェックインを待つ。→ ③チェックイン手続と同時に、カウンターがその荷物をそのまま預かる。

 私は、上記手続の②について、重大な安全リスクがあると考えた。というのは、「チェック済み」の荷物に乗客や第三者が何らかの方法によって危険物を混入させる可能性があるからだ(私が思いつく手法は何通りかあるが、安全の理由上、ここでは開示しない)。

 私の懸念の正当性を確認するために、私とその現場にいた保安検査担当者Aさんとの間で、以下の旨の対話が交わされた。

 私 「預け入れ荷物は通常、チェックインカウンターのなかで保安検査をします。このように、外で検査して、検査済みの荷物が再度乗客の手に渡って、チェックインカウンターの前で列をなして待っている間に、異物混入とかのリスクはありませんか」
 保安A 「われわれは、その列を監視、チェックしていますから、問題ありません」
 私 「その監視、物理的にできるんですか。安全性をあなたたちが保証しますか」
 保安A 「いや、ですから、われわれはやっていますから」
 私 「やっているのとできるのと話はぜんぜん違います。それよりも、一般的なチェックインカウンター内部検査のほうがより安全性が高いのではないでしょうか」
 保安A 「いや、ここはチェックインカウンターの中には検査機械がありません。外部に設置しているのですから、外部でやるしかありません」
 私 「内部に移設すればいいのではないでしょうか」
 保安A 「それは、できません」
 私 「どうしてできないのですか?安全性向上のための改善だし、運営合理化にもつながりますが」
 保安A 「申し訳ありませんが、それはちょっと、できません」
 私 「あなたたちの仕事がなくなるからでしょう。それだけのことでしょう」
 保安A 「はい」

 そこまであっさりと素直な肯定を得られるとは、正直私は予想しなかった。もし本当にそうであれば、それは大問題だろう。そこで、私は検査済みシールを張られた荷物をもって、チェックイン待ちの列に並び、観察を継続する。

 保安員Aさんが言っているような「検査済み荷物の継続監視」はまったく感じられなかった。いやむしろ不可能だろう。雑多な乗客が列をなしているなか、数メートルないし十数メートルも離れた検査場の保安員が監視の目線を届けることは困難である。そのうえ、保安検査場の担当保安員4名は検査やシール張り、問題荷物の開梱検査に専念している以上、物理的に余裕もなく、継続監視は不可能だろう。

 一方、隣のチェックインカウンター担当の保安検査場では閉鎖中のため、待機中の保安員4名が談笑している。私はその保安員たちに繰り返し問い詰めたところ、どうやら保安警備担当のNISIK社の契約先(航空会社?)が違うため、メンバーの相互応援協働はできないようだ。

 保安警備業務の第一義は、空の安全、乗客の安全。そのために最大の努力や最善を尽くす。しかし、そのための姿勢も意欲も私にはその欠片も感じられなかった。

 まだまだこれだけではない。問題はここから芋づる式に出てくるのである。

<次回>

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コメント: 福岡空港保安警備上のリスク(1)~受託手荷物保安検査の不備

  1. 立花様
    初めまして。
    いつもブログを楽しく拝見させていただいております。
    先月、私も福岡空港国際線を利用した際、「変な方法で
    荷物チェックを行っている」と思いました。
    具体的に「何が」というところまで至らなかったのですが、現在
    海外に住んでおり、他の空港と比較しても違和感がありました。
    立花様御指摘の通り、福岡空港国際線は、安全保安上、非常に危ないと思います。

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