11月1日(水)、上海で「日系企業内部不正行為調査と対処実務セミナー」を定員超過の満席開催。
日系企業内部の不正行為が増えたよりも、発覚が増えたといった方が適切だろう。長きにわたってぬくぬくと巣食ってきた悪がついに何らかのきっかけで露出した、そうしたパターンがほとんどではないだろうか。経費の不正請求から、リベート収受や不正着服、利益相反取引まで、会社資産の横領を中心に不正が多岐にわたる。
叩けば埃が出る――。経営年数を積み上げてきた大半の在中日系企業には、大なり小なりの不正が存在している。折しも中国経済・市場不況の風が吹き荒れるなか、不正事件の露出が旬を迎える、という時期ではないだろうか。
企業内不正は個別事件にとどまらず、悪影響の波及効果が深刻だ。特に証拠不十分などによって摘発や処分できない場合、ないし一部お金まで出して問題従業員(容疑者)に辞めてもらう場合、コツコツと働く勤勉誠実な従業員たちには甚だ不公平である。中に「正直者が馬鹿を見る」で悪の道に走り出す誘発事案も少なくない。
企業にとってみれば、いざ不正事件が発生した場合、調査活動だけでなく、確固たる証拠を入手することが困難な場合がほとんど。企業は警察ではない。捜査権もなければ、捜査のノウハウもない。本業を放り出して不正事件の調査や摘発に没頭するのがまさに本末転倒。
このため、不正行為は摘発よりも牽制効果が機能する予防措置を最優先しなければならない。セミナーでは、他律型統制と自律型統制の構築事例として、「中国流」内部通報・告発制度、ローテーション制度、従業員主導の自浄型モニタリング制度を挙げ、解説した。
セミナーのウェブ中継テストを今回、行ったところ、効果が悪くないようだ。来年以降は試験的に一部実施してみようと考えている。