川の遺体と捜査官の公文書偽造、社会ニュースの深読み

 「多摩川に18歳少年遺体」・・・。ホテル日航ハノイ。毎朝欠かさず日本語朝刊の「かわら版」がサービスされる。

 ホテル客室への朝刊サービス。海外の場合、国内紙の海外版本紙が高価なので、代わりにこのようなコンパクト版が提供される。新聞社と契約したうえで、ホテル側が配信データをプリントアウトして各客室に届ける。このような形態ではないかと。

 ぺらぺらめくってみると、3分の1がスポーツ、残りは芸能と社会。僅かな政治。経済や国際政治はほぼ皆無。私の部屋に届けられたもので、目に留まるのは現地ハノイの天気予報だけだった。せっかくのサービスだが、もったいない。

 遠き異国ベトナムの地において、わが祖国の川に少年遺体が見つかったことを知って、だから何だと言いたい。誠に悲しいことではあるが・・・。

 以前どこかで読んだ記憶がある。欧米に比べて日本のメディアが配信する情報では、社会や芸能・スポーツニュースの比重がはるかに高いと。

 「多摩川の少年遺体」と並んだもう1本の記事「厚労省麻薬取締官を逮捕」。取締官が覚醒剤事件の捜査の過程で令状請求のために調書を偽造したという事件であった。

 奇妙な事件だ。有印公文書偽造・行使の動機付けは、直接の私利私欲ベースの図利加害目的ではなく、令状請求という公務執行目的だった。なぜ?任務完遂における過剰な使命感なのか、案件処理に課されるノルマなのか、あるいは令状請求手続の過剰な煩雑さが問題だったのか・・・。

 たまに読む社会ニュースでも、読み方によっては異なる景色が見え、思考のエンジンを起動させられるものである。