超法規的措置もいよいよ最終取引、半島「Xデー」目前か

 マレーシア政府は、北朝鮮で「人質」にされた9名のマレーシア人を取り返した代わりに、金正男氏暗殺事件にかかわる容疑者である北朝鮮人外交官ら2人と金正男氏の遺体を平壌に送還した。

 明らかに法に則った手続ではない。この種の取引は、「超法規的措置」といっていいだろう。「ダッカ日航機ハイジャック事件」を想起せずにいられない。当時も、人質となった乗客乗員の人命尊重の観点から、ハイジャック犯人の要求をのみ、日本政府は身代金を支払い、日本国内に服役中の犯人の仲間たちを釈放した。

 「超法規的措置」。正式には「超実定法的措置」といった方が妥当だろう。であれば、北朝鮮という国家犯罪が明確なものとなり、テロ支援国家再指定は避けられないだろう。テロ支援よりも、テロ国家そのものだ。

 マレーシア政府は事件当初、マレーシア大使の召還や北朝鮮大使の追放など強硬姿勢を取っていたところから、後半になって一気に失速して曖昧で弱気に転じたのも、平壌のマレーシア人外交官らが人質にされたからであろう。だったら、初期段階で思い切って大使館全員撤収に踏み込めば良かったのではないか。いまさら言っても・・・。

 いよいよ北には先制攻撃以外に選択肢がなくなってきた。時期的には、5月9日の韓国大統領選までのXデーが浮上するかもしれない。就任早々足場が固まっていないトランプ大統領が決断できるかどうかにかかっている。作戦決行の場合、日中韓がすべて巻き込まれるだろう。

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