「三人寄れば文殊の知恵」というのなら、30人寄れば文殊の知恵が10倍になるか。
本質は人数の問題でなく、3人でも30人でも知恵の総量は間違いなく増大するが、その人たちの利害関係が一致しているかどうかである。利害関係が不一致なら、知恵のベクトルが様々な方向に向けられ、相殺し、消耗し、場合によってマイナス作用に働く。
より多くの人が集まれば、より多くの知恵が集結する。そこで必ずしもより良い結果につながるとは限らない。最悪の結果もあり得るのである。
知恵を制御するのは、私利私欲つまり個益である。個益は決して悪ではない。個益の調整がうまくいき、同じ方向にベクトルが向いていれば、知恵を集結し、知恵の総和効用が絶大だ。まさに「三人寄れば文殊の知恵」という境地に到達する。
同じ方向のベクトルの愚か者が3人寄れば3倍、いや9倍愚かになる。
民主主義にとって不可欠な2要素は、多様性と優れた指導者だ。優れた指導者は多様な意見、考え方を踏まえベクトルのとるべき方向を、状況により修正できる人だ。
民主主義の最大の問題は、多様性には事欠かないが、この優れた指導者に事欠くことだ。古今東西これは同じ。
愚の倍増原理、仰る通りです。優れた指導者はまず愚に抹殺されるのでしょう。
同じ方向にベクトルが向いていればよいとは限らない、いやかえって最悪の結果をもたらす場合が多い。ベクトルの向かう方向が最重要だ。方向さえ正しければ必ず目標に達する。
HOW ではなくWHYが重要だ。
世間の大抵の間違いはこの勘違いに起因する。