堕落した民主主義時代における稀代の名君

「Wedge」での特集連載「トランプを読み解く」。明日の掲載分で10回目、最終回となる。筆を擱くのが心残りというか、未練と言うか、実に複雑な心境で今日最終回の原稿を編集部に送った。

 5~6回程度の連載というつもりだったが、止まらなくなり、合計10回、4万文字の原稿も書いてしまった。同性ながらも、この醜い老人に何だか恋をしたような気分だった。

 ギリシャ語には、アガペ、エロス、フィロスという3つの愛があるという。フィロスとは、友情的な愛。エロスは男女の愛。アガペは、好き嫌いといった感情を超越した至上の愛を意味する。

 アガペという感情は、好き嫌いといった分別を超越した感情であり、純粋な境地に至る。聖書をもって神に対する崇拝があるとすれば、自分のなかに聖書と同一文脈が自ずと自然に出来あがる、そういう境地である。

 トランプ氏は今日、堕落した民主主義時代における稀代の名君である。

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