「米中交渉第1段階合意、損得関係をみる」で触れた米中の勘定だが、もう少し精算してみた。
とりわけ、金額における中国の譲歩は、
① 合計2000億ドル分の米産品製品の購入。
② 関税上乗せ対象となっている米国大豆・豚肉の除外分約40億ドル。
米国の譲歩は、
③ 5月課税済2500億ドル分=変更なし(継続課税)
④ 9月課税済1200億ドル分=7.5%へ引き下げ(90億ドル税収減)
⑤ 12月15日課税予定1600億ドル分=一時中止
⑤は未実施分なので除外する。米国の損失はとりあえず④の90億ドル分だが、②の40億ドルを差し引くと、実損はわずか50億ドル(④-②)にとどまる。しかし、その代りに(①-50億ドル)1950億ドル分が入る。米国の大勝である。
量の大勝だけではない。質も勝っている。サプライチェーンにかかわるいちばん大事な部分③は、継続課税するわけだから、米国企業の中国撤退は止まらない。
そして、中国の現状をみると、約束された2000億ドル分の買い物は完全実施されると思えない。いざ(一部)不履行が明らかになれば、トランプ氏が一気に元通りの関税に戻せばいい。ただすでに買ったものは返品なしなのだから、得するのは米国だ。
そこまで大損してでも、交渉第1段階の合意しなければならなかった中国の惨状、想像するだけで分かるだろう。