日本人はなぜ思考停止に陥ったのか?

 日本人は基本的に誠実な民族で、嘘をつきたがらない。だが、嘘をつく。なぜなら、嘘をつかなければ、損することが多々あるからだ。

 同調社会である以上、空気を読まなければならない。議論よりも、真実を語るよりも、同調が優先する。つまり、嘘をつかなければならないときもある。

 すると、誠実な日本人は、良心的不安に苦しめられる。その葛藤から逃れるために、嘘をつくという事実を知らない状態を必要とする。

 それは、考えないことだ。大方の日本人の思考停止は、ここに由来する。考えて弁別することが、嘘発見器であるから、その装置をまず捨ててしまう。

 嘘発見器的な思考を捨てて、何を頼りにするかというと、杓子定規、前例踏襲。そういうメカニズムなのだ。

 「みんなで嘘をつけば、怖くない」「嘘と知らずにつけば、嘘でない」というのが、日本社会である。イスラム教では、豚肉やアルコールと知らずに摂取すれば、教義違反にならない。それと同じ原理だ。知らなければいい。

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