繁体字復帰のサインか?6文字繁体字の騒ぎ

 少し前、ブログで「繁体字と簡体字」を書いたら、大変な論議を起こしたが、後日、ある面白い展開が見られた。

 8月中旬に、教育部と国家語言工作委員会が、「通用規範漢字表」を公開し、意見徴収を始めた。草案に、6文字の繁体字を復帰させた。すると、すぐに、「6文字でも、繁体字全面復帰のサインだ」という声が上がる一方、「繁体字断固反対」派も負けずに再びトーンを上げている。

 政府の公式発言は、「原則として繁体字復帰しない。今回復帰させた繁体字は、どうしても復帰しなければならない繁体字ばっかりだ」となっている。

 「原則復帰なし、必要あれば、例外OK」という姿勢だ。

 そして、注目されたいことはもう一つ。同時に「簡体・繁体漢字対照表」も編制されているようだ。上記役人の発表によると、その主旨は、「中国本土と香港・マカオ・台湾の異なる使用状況及び国際化のため」だという。「両漢字共存」という多様性を公式に確認する形になった。

 というのが、現時点の官の姿勢だ。まあ、中国は、非常に変化の早い国なので、将来のことは誰も予測できない。今回の「6文字」の見方も人それぞれだろう。それはそれで良いと思う。私個人的には、以前ブログにも書いたとおり、繁体字ファンだ。昔、繁体字を書くのが確かに面倒くさいなあというのがあったが、いまはパソコンなので、打つ分には簡単字も繁体字も一緒だ。

 面白いことに、先日、台湾出張に行ったとき、台北の街頭で何箇所か簡体字の広告を見た。本土の観光客が増えたのが原因だろうと思った。その後、台湾の新聞を読むと、「正体字(繁体字)は、台湾法上の法定漢字、なぜ勝手に簡体字を使うのか、商売のためだけなら、あまりにも無節操だ」と簡体字反対派が大騒ぎ。

 ところ変われば・・・の現象だが、中身を見ると、経済的実利、学術的見解、政治的立場、単なる個人の趣味・・・実に多種多様。同じ漢字の国でも、歴史と政治、そして経済・・・などに翻弄される状況を見て、何だか悲しく感じずにいられない。