日本航空の凋落、斜陽に輝く鶴の影もなし

 1985年8月12日、日本航空、東京-大阪123便は、群馬県・御巣鷹の尾根に墜落、炎上した。520人の尊い命が奪われた。

 その2日後、私は、成田行きの日航機に乗った。危ないからやめなさいと航空会社の変更を周りから勧められたが、それでも、私は日航に乗った。私は、あの鶴マークを信頼していたのだった。世界のどんな遠い地でも、あの鶴マークを見てほっとし、また誇りに思っていた。

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 が、そんな日本航空自身は、いま、墜落しようとしている。

 「あっ、ごめんなさい」、飲料が客席に座る私のズボンにこぼれた、客室乗務員がサービス中に、このような小事故は避けられない。この数年間に、私が3回も遭遇している。すると、客室乗務員から、スッと葉書一枚を渡されるのである。そこに「被害」を受けた搭乗日時、便名、座席番号と氏名、銀行口座を書き込んで投函すれば、1000円程度の「洗濯代」が自動的に口座に振り込まれる。

 客室乗務員のあまり慣れすぎた「洗濯代葉書」渡しの業務風景を目の当たりにして私は、悲しみを感じずにいられない。それでよいのか、洗濯代さえ払っておけば・・・

 逆にANAの方では、このような事故は一度もなかった。私は、同じ路線のJALとANAの客室乗務員のサービス時間を統計したことがある。平均して、ANAはJALの1.2倍から1.5倍になる。ANAも完璧ではないが、どこか向上心を感じさせるところがあった。しかし、JALは緩みっぱなし。

26760_3古き良き時代のJAL機は、懐かしい

 放漫経営というか、まったく経営にはなっていない。JALには、そもそも経営者が存在したかと疑いたくなる。過去は、日本の経済成長と海外旅行の自由化に助けられたものだが、時代が変わった。消費者が別の方向を見ているのに、JALが消費者を放置してきた。

 自腹を切って飛行機に乗るのなら、JALを選ぶ人はどのくらいいるのだろうか。JALは、大企業とお金持ちにしか目を向けていない。ファーストクラスには懐石が出るほど素晴らしいが、対比的にエコノミークラスに乗っている大多数の乗客に、どれだけ冷たいのか。大衆を敵に回したら怖いぞ、大衆の航空会社は。そのへん、シンガポール航空に学んでほしい。

 そんなJALにはもう乗りたくない。私は、ここ2~3年、マイレージも含めて集中的にANAに切り替えた。新聞を読むと、いま、デルタやらアメリカンやら米系航空会社の出資話でもめているようだが、そもそも外資が参入してきたとき、消費者がせっせと溜め込んだマイレージは、インフレが起きないかと心配せずにいられない。

 あっ、気が付いたら、私も手元に最後、1万マイルほどまだ残っている。早く処分したいものだ。

【声明】:本文は、あくまでも私個人の感受に基づいてストレートに表現しただけで、消費者の皆様の購買行為に影響するつもりはまったくありません。