戦略を考える経営者とクレームを処理する現場

 このブログを書いていると、とても勉強になる。読者の方から、書き込みやメールで、いろいろなコメントや意見、お叱りが寄せられるからだ。そこから、たくさんの栄養を吸収することができるし、ステップアップができる。

 ここのところ、経営者の自律、向上心、経営責任について、読者の方と意見交換をしていると、いろいろ、思い出した。

 2~3年前のことだが、某メディア広告系の会社(上海)に、クレームをつけようと、担当者を呼び出した。担当者に権限もなく、責任回避で要領を得ない回答だった。しかたなく、日本人総経理(オーナーの一人でもある)にメールを書いた。この日本人総経理は、ずいぶん前から知っていた。90年代後半から、会社を立上げ、事業を大きくした創業者の一人でもあった。

 小さなクレームで、いくら知り合いとはいえ、総経理まで言いつけるのがあまりにも酷いと、私はためらっていた。しかし、この小さなクレームで、その会社の販売体制上のある問題点に私が気付いた。それだけ、総経理に言いたかった(私のお節介根性はいつまでも治らない)。とうとう、私がクレームメールを総経理に送った。

 返事が来た。

 「ご無沙汰しております。あいにく、私は、いま、会社の戦略関係に専念しておりますので、その件について、現場担当者の○○からご連絡します」と、メールは、例の現場担当者にプッシュバックされた。

 ずいぶん、偉くなられたことで、思わず、私がメールを出したことで、ものすごく後悔した。私の本意が伝わっていない。これ以上、その日本人総経理の戦略思考を邪魔するわけにもいかないので、そこで、引き下がったのだった。

 その会社は、数人から立上げ、大成功し、いま200人規模にまでと拡大した。総経理は、いよいよ現場のことよりも、「戦略」に専念するようになったのか。

 「戦略」とは、何か?何だか、初歩的な質問を聞きたくなった。戦略を考える経営者とクレームを処理する現場、このような構図で、良いのか?