会社設立トラブル、慎重なコンサル会社選びとは?

 会社設立手続き絡みのトラブルは、多発している。同じエクスプロア「亜漂族の上海起業日記」9月13日では、実名入りの事件掲載があった。さすが、相手側のコンサル会社の社名、代表者名、ウェブサイト、すべて実名掲載になっていると、あまりにも生々しく、大変ショックを受けた。

 上記事件についての論表を一切控え、また上記事件にまったく関係なく、一般論として、コメントさせてもらう。
 
 当社には、これまで、会社設立関連のトラブル話が多数持ち込まれている。なかに、上海万博出展絡みのトラブルもある。この類のトラブルの多くは、設立代行手数料を払っているのに、要求していた会社ができなかったものである。アドバイスとして、会社設立コンサル依頼にあたっての注意事項を以下掲載する。

(1)法人の法的主体資格の審査
 そのコンサル会社が、ちゃんとした「有限公司」になっているか否か、資本金もちゃんと払い込まれているか否かをチェックすることだ。その辺、あやふやだと、締結した契約が無効契約になったり、損害賠償を請求するとき、十分な資産(資本金)がなかったりして困ってしまう。
 チェックの方法は、概ね以下3つ。
  ① 信用調査を行う。
  ② 先方から営業許可書を提示してもらう(偽物の可能性も)。
  ③ 工商行政局でその会社の登記データを調べる(日本国内の法務局の登記謄本請求に相当)。

(2)契約書の締結
 口約束は論外。当然、しっかりした契約書を締結する。特に、依頼事項である会社設立が失敗したときの費用問題も、はっきりしよう。

(3)費用の支払い
 なるべく、分割払いにする。たとえば、まず、手付金三分の一、批准証書が交付されたときさらに三分の一、最後すべて終了したとき残りの三分の一。

(4)日本人絡みのトラブル
 コンサル会社で、日本人代表者、担当者が絡んだトラブルについては、一概悪意とも限らない。日本人のいるコンサル会社自身が、会社設立の行政手続きを行えずに、さらに下請けの中国人(会社)に依頼することが多い。その先で問題を起こされたりして、その日本人がコントロールできなくなってしまうようなケースもある。

(5)会社設立代行の費用
 当社も会社設立代行を行っているが、通常は、事業立上げ総合案件で受け、その一環として処理している。単独で会社設立代行をあまり受けていない。というのも、事業リスクやコンプライアンス審査が付随するので、価格が大手弁護士事務所とさほど変わらないからだ。設立代行のコンサル会社が多く、玉石混交なので、十分な注意が必要だろう。価格だけで判断するのが危ないだろう。

 「亜漂族の上海起業日記」さんには、一日も早く、問題が解決されるよう期待している。