ラオス日記(3)~メコン川の戦いと中国の存在

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 名所観光しながら、外国投資のこともガイドにいろいろと聞いてみた。

27711_1立派なラオス大統領官邸
27711b_1ラオスのシンボル、タートルアン

 とにかく、人件費が安いのがラオスの一番の魅力ではないかと思う。大卒の初任給は50ドル~100ドル程度、人民元に換算すると350元~700元、中国の5分の1。もちろん、ワーカーの工賃も安い。最近、タイ国内のコスト増によって、投資をどんどんラオスにシフトする外国企業も増加している。

27711_2ラオス版凱旋門は未だに未完成のまま
27711b_2ラオス織物はこのように、すべて天然染料を使用

 コストの安さは、ビエンチャン市内の物価を見ても一目瞭然。タクシー代わりのトゥクトゥクは、初乗りが1ドル程度(交渉ベース、夜間は割り増しになる)、ラオス人が食べるレストラン(食堂)の一人平均単価は0.5ドル程度、市内最高級のフランス料理店で食べても、ワイン込みで、一人15ドル~20ドル、上海や東京では考えられない値段だ。

27711_3織物の作業場
27711b_3世界的にも有名なラオス織物

 しかし、物流問題は懸念される。海に面していない内陸国家ラオスの弱点である。メコン川を使った輸送も楽観できない。ここ数年、中国が音頭を取ってメコン川圏の産業貿易振興を呼びかけているが、メコン川の上流をコントロールしているだけに、中国の野心が見え隠れする。ビエンチャン市の南に流れるメコン川の畔に連れて行ってもらった。暦上まだ雨季というのに、川のあちこちに中洲が出来ていて、とても喫水の深い大船が運航できるような状況ではない。

27711_4メコン川の向こうはタイなのだ

 ガイドがこういう。「メコン川の上流に、中国がダムを作る。すると、下流はほとんど水か枯渇してしまう。中国はしたたかな巨人だ。とても戦えない」

 もしや、メコン産業貿易圏を提唱しながらも、中国は別の戦略意図をもっていたのではないかとふと気が付いた。

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