「銀平」続編、まずいものと旨いもの、旨いものとさらに旨いもの

 このブログで以前一度書いたことのある日本料理「銀平」(「2009年05月16日 <上海>日本料理・銀平、魚食すには上海でとりあえず満足ランク」)だが、その後数度訪れている。上海では、それなり満足できる味ではあるが、サプライズがないことで、悶々として今日に至った。

28798_2和牛の握り寿司

 どうしても、「銀平」新地店(大阪)と比べてしまう。すると、上海店は遜色が目立つ。新地店では、日本国内の相場でいえば非常に手頃な値段で、豪快に新鮮な魚が食べられる。それに比べると、上海店では、現地物価に相対的な割高感は払拭できない。もちろん日本以上の味を出すにも難しいので、心理的ギャップが生じる。

 と、分析しながら、あきらめずに、何度も「銀平」上海店に足を運んでいる。先週、台湾から来客がいて、ホストとして一席設けようと、実は、「銀平」に個室を取っておいた。けれど、その台湾系日本人社長は、「私がおごるから」と、頑として譲らないから、言われるままにご馳走になった。連れて行かれた店は、あの「伊○家」。私は、日本料理の食べ放題にはアレルギーがあるが、ご馳走になる以上、文句を言うのがマナー違反だし、楽しい会話ができれば、どこで食べてもいいのだ。

 私は、年に何回か日本料理の食べ放題を食べると以前書いたことがあるが、大抵このように、ご馳走になる場面やパーティーがほとんど。自分では絶対に行かない。決して、食べ放題が悪いと言っているのではない。マーケットがあって、商売が成り立つ以上、他人様から文句を言われる筋合いがない。ただ、自分は、日本料理の食べ放題は日本の食文化に対する歪曲と考えているが、現に、中国では「日式料理」といっている以上、私は文句を言わない。

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 「伊○家」の料理も、案の定、日式料理。台湾系日本人社長は、これが旨いから食べなさいと勧めてくるが、私は一向に箸が動かない。たまたま、その方とはビジネスの理念も違って、会食が苦痛以外何物でもなかった。

 不完全燃焼が残ったまま週末を過ごし、口直しでもしようと、会食を予定していた「銀平」の暖簾をくぐった。「比較」というのが、恐ろしい。私にとって、昨日の「銀平」は、天国のように見えた。何を食べても美味しく感じたのだった。

28798_4寿司盛合わせ(小)
28798b_4秋刀魚とまぐろの刺身

 昨日のテーマは、「寿司」。和牛の握り寿司は、絶品。肉の甘みとシャリとの一体感がほぼ完璧。口中で肉に圧力をまず少しかけると、とろけるように肉がシャリに溶け込んでいく。渾然一体となったハーモニーが絶妙で、ゆっくりと口腔を通り、喉へと運ばれていくと、味蕾と口腔内の細胞の一つ一つが興奮状態に陥り、電気ショックのように、ピリピリとシグナルが脳に送り込まれ、「ブラボー」と歓声を上げる。

 いやいや、美味しかった。また、来ますね、銀平。