大阪出張、大連(中国)出張なら、必ず私が使う日本料理店があります―「銀平」(ぎんぺい)。魚の美味しい店です。本店は和歌山、活魚料理店で商売が繁盛するにつれ、どんどん支店を増やしています。
「銀平」大阪の北新地店は、飲み屋街とANAクラウンプラザホテル大阪(旧:大阪全日空ホテル、以前私の常宿だった)に近く、出張者に都合が良い。活気に溢れる繁盛店ですが、スペースがとにかく窮屈。私のような体格では少し酔ってくると必ずどっかぶつかったりします。それでも行っているのは、魚が美味しいからです。ど~んと、でかくてごつい器に盛られる料理は、ユニークで美味しく感じさせます。決して繊細な味を出す店ではありません。魚の扱いが荒かったり、揚げ物も油切れが悪かったり、水が不味かったりします。総じて言えば、この店は商売上手です。味も悪くないし、極端に高くもないので、ついつい通ってしまう店です。それを狙っているのかもしれませんが、マーケティング戦略の成功例だと思います。
上海店も、基本的に日本国内店舗のコンセプトを伝承しているようです。ただ、強烈なインパクトを受けたのは、日本と中国の顧客層の違いをはっきり意識しての店作りでした。居酒屋ムード満点の日本国内店と打って変わって、上海店はかなり高級感を出しています。日系企業や外資系企業勤めのエリートサラリーマンが多いため、中国人好みの鉄板焼きなども設け、ワイングラス一つ取っても、大きなテスティンググラスが用意され、リッチなムードの演出に余念がありません。
まず、素材の確認です。
★ 完全無農薬の野菜サラダ・・・38元 品質は悪くないが、量がかなり少ない。荒利の高い一品です。消費者としては心が痛む。
★ 刺身の盛り合わせ・・・150元 マグロはかなり良い味を出しています。甘エビは小さくて、食べ放題系との差別が付きません。
★ きびなごの刺身・・・38元 「日本からの空輸便」と表示されています。冷凍の空輸?活魚の空輸?不明です。空輸にしてはかなり値段が抑えられているよう気がします。
次、油の確認です。
★ きすの天ぷら・・・58元 素材は合格点ですが、天ぷらというのに、油が悪い。さらっという揚げ方ではないから、食べると、サクサク感が足りず、欲求不満を起こします。私は、天つゆは天丼のときしか使いません。天ぷらの場合、断然塩派です。塩を頼むと、岩塩など気の利いたものを期待していましたが、ただの塩しか出ませんでした。
★ 海老パンはさみ揚げ・・・45元 油ギトギトの代物ですが、日本料理を淡白に感じる上海人には最高な口直しになります。うまく献立を組めば、接待に使えます。上海人のお客様に喜ばれます。
そして、焼きの確認です。
★ サーモンかぶと塩焼・・・58元 申し分ありません。ゼラチン質の部分も見事にピュルリーと口中に溶け、潮の香りが鼻孔から抜けていく快感は、最高でした。
続いて、出汁の確認です。
★ 出し巻き玉子・・・28元 出汁はしっかりした出来ですが、水が悪い。せっかくの出汁がもったいない!
いよいよ、マーケティングの確認です。
★ 特選ファアグラステーキ・・・120元 中国人の接待で豪華な雰囲気を演出するには、やはりこれかな?キャビアまで乗せるところは、いかにも中国的です。
最後は、看板料理で締めくくります。
★ 銀平鯛めし・・・88元・2人前 大阪で食べた鯛めしとは比べ物になりません。なぜか鯛の微かな香りと甘みを感じられません。やはり水ですかね、ご飯を炊く水が悪ければ、台無しです。
店のサービスはなかなかしっかり出来ていますし、ここは上海ですから、これ以上のものを求めるべきではないのかもしれません。ご馳走様でした。
★日本料理・銀平(ぎんぺい)
<住所> 上海市長寧区仙霞路137号盛高国際大厦1階
<電話> 021-6241-1400
<営業> 11:30~14:00 17:00~22:00
<予算> 250元~450元