なぜウクライナ戦争になったのか?プーチン側に立つ理由

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 2022年2月24日ロシアのウクライナ侵攻に先立って、ロシアの国営テレビはプーチン大統領の国民向けの演説を放送した。主に軍事作戦の背景と理由を述べるものだった。演説全文を読み、ウクライナのネオナチ問題等の一部(判断には十分な情報がないため)を除き、私個人的に理解し、かつほぼ同感した内容を以下私自分の言葉に直して要約してみた――。

 時間軸的にソ連崩壊がすべての発端。共産主義の親分ソ連の崩壊から、西側諸国は冷戦、対共産主義の戦いの勝者として世界に君臨した。

 それ以来、米国西側は自分の価値観、優位性と覇権を絶対的善と正義として、自分のイデオロギーに合致しないものについては耳を傾けるどころか、これらを否定し、軽蔑し、自分が作り上げた国際法すら眼中になく、恣意的に法を解釈し、捻じ曲げ、自分に有利なようにルールを変更し、世界に対して審判する座に上り詰めた。

 彼らは独善的に世界に価値観を押し付け、世界の立法者や警察官だけでなく、裁判官にもなり、つまりは世界に対して、「三権一体」の絶対的強権を行使してきた。

 米国は、ベオグラードから、イラク、リビア、シリアまで不法に軍事力を使った。流血・人道的惨事、長期内戦、テロ、大規模難民問題を引き起こした。イラクには化学兵器が実際に存在しなかったにもかかわらず、でっち上げて捏造した。

 米国はルールメイカーとして、他者に絶対的同調と服従を強要し、米国の意思に反する者には恫喝や脅迫だけでなく、懲罰も与えてきた。

 一方、米国・西側諸国はロシアを冷戦の敗戦者として見下し、軽蔑してきた。NATOの東方不拡大の約束を自ら破り、ロシアの国境までNATOは拡大・浸透し、「反ロシア」勢力を強化し、最新の武器を与え、核兵器の保有に向かって進み、ロシアを敵視し、弱体化、破滅させようとした。さらにウクライナ国内のネオナチ問題も相まって、ロシアの最後の「レッドライン」をついに超えた。

 ソ連崩壊後のロシアは、自信喪失に陥った。もちろん、過去に対する総括・反省もし、改めて自己防衛には、力が常に必要であること、力のほかに選択肢がないことに気づき、このたびのウクライナ侵攻に踏み切った。ただし、戦闘は領土占領を目的とせず、現状の是正を目的としている。(ここまで要約)

 私は独善的にロシア・プーチンを正当化するつもりはない。ただし、プーチンの演説に対して、バイデンは答える必要がある。バイデンは避けることなく、逐条取り上げ、事実に基づき、堂々と世界に向かって反論する必要がある。あるいは、公開弁論をプーチンに呼びかけてもいい。なぜ、バイデンはそれができなかったのか?

 私は戦争には反対だ。おそらく地球上には戦争好きな人はいない。いや、戦争で利益を手中にする第三者はこの限りではない。なので、米国はその第三者に当たらないことを自ら証明しなければならない。戦争の直接当事者は、大きなコスト、代償を払う覚悟をしなければならない。ロシアはなぜ戦争に踏み切ったのか、仮にプーチンの演説は単なる自己弁護だとしても、その真の理由を突き止める必要がある。

 しかし、米国も欧州も議論の場に出てこない。来る日も来る日もウクライナに武器をどんどん送り込んで、「戦え戦え」との姿勢を崩していない。だとすれば、米国は武器ビジネスで大儲けするだけでなく、ウクライナを犠牲にしてロシアを崩壊させようとしているというプーチンの仮説に合理性を感じずにいられない。

 故に、私は現時点では、プーチン側に立つ。

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