中露の結合が進む、日本は戦えるのか?

 プーチンは、ロシアとアジア、アフリカ、ラテンアメリカの国々との間の貿易に人民元建て決済を全面導入する意向を示した。人民元がユーラシアの基軸通貨となる可能性が出てきた。ただ「脱ドル」の加速化といっても、ドルが消えるわけではない。人民元によって新たな金融システムを構築し、ドルを牽制し、ドルの一極構造を切り崩す可能性を言っている。

 もう1つは、シベリア。中国によるシベリア進出は、プーチンの承諾を得たようだ。先日習近平とプーチンのモスクワ会談の重要なトピックだった。

 シベリアは巨大宝庫。中国にとっては喉から手が出るほど欲しい、まさに垂涎の的。中国はロシアにない豊富な資金、技術、人材・労働力をもっている。ロシアが中国の進出を許せば、シベリアは第二のアフリカ、いや、アフリカを上回る存在になる。

 シベリアの面積は、ロシア連邦全土の約57%にあたる980万㎢というとてつもなく広い範囲に渡り、1つの中国に相当する。その一部だけでも十分。中国は東北の工業基地をベースに、シベリアを通じて北上すれば、北極へのアクセスを手に入れる。東西の「一帯一路」に北極から赤道(ASEAN)までの南北を結ぶ縦軸を加え、十字架経済圏の構築が可能になる。

 さらに第一列島線ないし第二列島線の突破をもって、ハワイを目指して東方展開すれば、中国は十字架の中心に位置するまさに「中」の国になる。トランプもバイデンも反中だが、トランプは中露の分断に取り組んできたが、バイデンは中露を一体化してしまった。日本は本気で中露と戦うなら、生きるか死ぬかと国家の命運を賭けることになる。その場合は、以下4つの条件が必要。

 (1) 経済の自立――中国サプライチェーンから脱却し、戦時経済体制を作り上げる。
 (2) 政治の自立――米国従属から脱却しつつも、米国を当事者として引っ張り込み、真の運命共同体である日米台連盟を組む。
 (3) 軍事の自立――核を保有し、中国に本質的な抑止力をもつ。
 (4) 国民の自立――日本人の依存心をなくし、思考力と生存力を持たせる。

 この4つの自立が実現した時点で、日本はようやく中露と戦う基礎体力ができたといえよう。この4つの自立は可能だろうか。まず言えるのは、今の体制では無理。ある程度の独裁的指導者とそれを支える制度的担保が欠かせないからだ。この条件を満たしているのは、中国とロシアであって、日本ではない。

 故に、日本に勝算はない。

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