スリランカ日記(18)~旅の思い出

<前回>

 スリランカは、私の世界歴遊の37か国目になる。これだけ旅をしていると、僭越ながらも、一応の「達人」自称で通している。英語があまり通じない国でも、一言や二言の現地語を一生懸命に勉強して、楽しく旅が出来たと、そういう国もたくさんあった――ロシア、フランス、スペイン、ポルトガル、イタリア、ギリシャ、ハンガリー、韓国、モンゴル、北朝鮮などなど。

31964_1一杯の紅茶には、スリランカの思い出が詰まっている

 旅とは、疲れるものだ。周到な準備をしても、不意な出来事やトラブルがあったりして肉体的にも精神的にも疲れる。楽にしようと、パッケージツアーという方法もあるが、私がいままでパッケージツアーに参加したのが、1回だけだった。アメリカ西海岸のロサンジェルス、ラスベカスとサンフランシスコを回る格安ツアーだった。以来、絶対にパッケージツアーに参加しないことを決め込んだ。人それぞれの旅のスタイルがあるが、それを最大公約数的に集約したパッケージは、少なくとも私に合っていないことが分かったのだ。同じツアーの他のお客様にも迷惑がかかるし・・・

 ということで、毎回、苦労して旅のアレンジを自分でやっているのである。旅は、飛行機に乗るときでなく、飛行機のチケットを予約し、旅の日程を作り始めた一刻から、既に始まったのである。仕事の合間を縫って、飛行機やホテルの予約をし、旅先の風景を想像しながら、旅立ちの日が待ち遠しくて、ドキドキワクワクする。

31964_2これだけ紅茶を買ってきた
31964b_2最高級茶の「シルバーティップス」

 いざ旅に出ると、私の場合、家に帰る日まであと何日か指折り数えるのである。そして、旅から帰ってくると旅の余韻を楽しみながらも、また次の旅を計画し始める。何とも不思議なことだろう。

 「月日は百代の過客にして、行きかふ年もまた旅人なり」、松尾芭蕉がこう言う。そして、作家の藤本義一は「人生は己を探す旅である」と語っている。世界を旅している自分は、旅とは何かをときには自問する。それは、期待であり、体験であり、思い出づくりであり、学習であり、また成長でもあると私は思うのである。

 今回、8日間のスリランカの旅を、18回のブログ連載にしたが、まだまだ書き切れていないものがたくさんある。旅途中に、道端に咲く一輪の花、食卓に登り横断していく一匹の蟻を見付けては、数え切れない思いが湧き上がったりもした。

 「法律、人事コンサルタントの立花さんは、いったい何を考えているのでしょうか、作家にでもなるのですか」とよく聞かれる。私は作家になれるとは思えないし、コンサルタントの仕事をやめるつもりもない。ただ、コンサルタントという職業には、旅の体験が大きく役立っていることに気付いている。ものを観察し、メカニズムを描き出し、もう少し難しく言うと哲理を悟るという部分は、まさにコンサルタントに欠かせないものである。

 さてさて、難しい話はこの辺にしておこう。旅から帰宅すると、旅の思い出に浸かりつつ、様々な土産物を整理するのも楽しみの一つだ。今回旅途中で買ったものは、紅茶や香辛料、そしてマッサージオイルなど色々とあり、どれもスリランカの思い出が詰まっている。

31964_3何といってもカレー!
31964b_3我が家で本場スリランカの味が再現できた

 紅茶の中でも最上等級茶葉として知られ、マーケットには流れない希少価値のある「シルバーティップス」で、銀の缶に詰めたものは、私がもっとも尊敬する恩師・董保華先生への土産である。香辛料は、コロンボ空港で買った「スリランカのカレー料理」という本を参考にしながら、本場の味が我が家の食卓で見事に再現できたのだ。マッサージのオイルは、早速、長年付き合っている中国人のマッサージ技師に渡し、土日の施術に使ってもらっている。匂いはかなり強烈だ。

31964_4スリランカのマッサージオイル各種、強烈な匂いがするものも

 最後に、宝石の原産国として有名なスリランカでは、「そんな高いものは、やめよう」という妻には、スリランカ産のサファイアのペンダントとキャッツアイの指輪の2点をプレゼントした。「前回、あなたからプレゼントをもらったのがいつだったかしら」といわれれば、恥かしいながら、94年の夏イタリアのローマで本革のバッグをプレゼントして以来、16年ぶりだ。

 プレゼントといっても、家族共通の財布からお金が出ているのだが、買い物が大嫌いで絶対に店など行かない私が一緒に店に出向き、店頭でじっくりと品定めして購入するのがプレゼントの証らしい。

<終わり>