「我錯了、対不起」、私は社員に批判された

 「立花さんが言っていることに、矛盾があった」、先日、当社のある社員にこう指摘された。

 「きちんと規則制度を守れ、きちんと『報・連・相』をやれといいながらも、社員からの報告を、『こんなことまで報告してくるのか・・・』と退けている。これは矛盾じゃないか。社員としてはとても働きづらい」

 という率直な批判を、私に面と向かって言ってくれた。私は、一瞬感動で涙が出るほどだった。批判の内容はどうであれ、社員が社長に向かって「あなたが間違っている」と指摘できることは、そうめったにない。改善に対しての熱望、権力に立ち向かう勇気、会社に対しての忠誠心・・・それが、私が目指している会社の文化だ。

 その場で、私に批判してくれた社員に、丁寧に頭を下げて謝罪し、また感謝をした。その後、全社会議で、さらにこのことを公表し、全員の前でもう一回、その社員に謝意を表明したうえで、私の指導不当の責任を取り、全社員に謝罪した。

 「我錯了、対不起、我向大家道謙」

 「私のミスでした。すみませんでした。皆さんにお詫びします」と単純明快な中国語で社員に謝罪した。謝罪することは、とても素晴らしいことだ。全身すっきりする。

 今回指摘されたことの原因はどこにあったのか。「問題意識をもって、自分の思考で問題解決に取り組むべきもの」と「規則制度の遵守、任意判断による違反行為の禁止」の線引きをはっきりしなかったのが、原因だった。私の指導と説明の不行き届きで、明らかに私のミスだった。それが故に、私の言動が矛盾として社員の目に映った。しかも、それについて、私は知らなかった。それが、私の二つ目のミスであった。

 今回、社員の指摘で、上記の事実が判明された。これは、我が社が一歩前へ進んだだけでなく、コンサル現場にも生かされることになる。私を批判した社員に、昇給することとしながら、改善活動に取り組んでいる今である。