総理と総経理、考えていますか?

 「私が了解したと伝えられているが実際には了解ではない」

 鳩山総理は25日、亀井金融郵政改革担当相と原口総務相が発表した郵政改革案についてこう述べた。とても、一国の総理の口から出てくる言葉とは思えない。

 「報告受領」⇒「指示」。

 指導者とは、部下からの報告について、明確な意思表示をしなければならない。一国の総理だろうと、一社の総経理だろうと、同じだ。

 部下の報告スタイルにも問題が多い。報告の内容は、状況や意見を述べたうえで、決裁を仰いでいるかどうか、明確にしなければならない。

 「鳩山総経理」が「亀井本部長」に「分かりました」といったのは、「報告を受けた」という意味なのか、「提案のとおりやっていい」という意思表示なのか、不明だった。

 報告と指示というコミュニケーションの不備だけではない、「日本国株式会社」の一番大きな問題点は、理念と戦略の不在である。皮肉なことに、「国家戦略室」の機能不全というか、影の「選挙戦略室」の存在感がはるかに大きい。少なくとも、「郵貯利権」に突っ込んだ亀井氏の頭に、「国家戦略」よりも「選挙戦略」しかないだろう。

 とにかく、夏の参院選しか頭にない。小泉改革に完全逆行する民主党は、日本を救えるはずもない。 

 「国営銀行が民営銀行より安全だ」とか、「郵貯は2000万にしようか」や「簡保2500万円でどうだろう」といった議論に意味があるのだろうか。「日本という国の5年後、10年後、20年後」という哲学はどこにも見えない。

 日本の5年後、10年後、20年後のことを考えていますか、鳩山総理。

 中国現地法人の5年後、10年後、20年後のことを考えていますか、日系企業の総経理。