冷房拝借のついでに労働仲裁

 本日も、また、労働仲裁の依頼を受けた。ここのところ、労働紛争案件がひっきりなし。

 昨日、上海のある労働法専門家セミナーに出席した。某有名労働法専門家G氏がいろいろなエピソード(実話)を披露してくれた

 某労働者Aさんが、真夏の街を歩いていると、汗だくになって、冷房を拝借しようとたまたま入ったのはデパートでなく、労働仲裁院だった。

 労働者A 「ここは、どういうところですか?」
 仲裁院 「労働仲裁の場所です」
 労働者A 「労働仲裁って何ですか?」
 仲裁院 「会社から不当解雇を受けたり、残業代を払わされなかったり、そういうときに、労働者が会社を訴える場所です」
 労働者A 「それって、お金がかかるんですか?」
 仲裁院 「いいえ、無料です」
 労働者A 「じゃ、俺も会社を訴える」・・・

 さらに、某労働者Bさんと弁護士の対話だ。

 労働者B 「私の件、仲裁できるのか」
 弁護士 「あなたの場合、勝てませんよ」
 労働者B 「いや、聞いているのは、仲裁できるかって」
 弁護士 「できることはできるんですが、勝て・・・」
 労働者B 「じゃ、やりましょう、仲裁!」・・・

 「走過、路過、不能錯過」(歩いて気付かずに通り過ぎても、これだけは、見落とすな!見逃すな!)。今の中国の労働仲裁の現状だ。

 大きな賭博場がある。その賭博場は、入場料も要らなければ、元手も要らない。一文なしでも賭けることができる。もちろん一攫千金のチャンスが転がっている。負けてももともと元手がゼロだから、損はない。しかも、賭博場は冷暖房完備、企業が納める税金で運営されている。

 さあ、いかがですか、仲裁は?

 このような法制度では、平和な労使関係は望めるのか!

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