中国の「幼稚現象」、良し悪しは各人の判断

 二審上訴。裁判所から開廷通知が届いた。遠隔地のため、1泊出張を余儀なくされる。法廷の日は変えられないので、私と弁護士の前後の予定がすべて狂ってしまった。事務局が慌てて各社と日程調整に入った。3月いっぱい全日程が埋まっているため、至難の作業となる。

 上訴人は、顧客X社の元従業員Dさん。Dさんはすでに労働仲裁完敗、一審完敗と二連敗を喫しているにもかかわらず、懲りない上訴審。

 心情的なものもあるだろうが、中国の労働仲裁は労働者に無料、裁判はわずか10元の訴訟費というコスト問題もかなり大きい。ただほど怖いものはない。コストがかからないから、濫訴になる。しかし、会社側にはしっかりコストがかかっている。司法資源の無駄使いが国民の税金を食いつぶし、結果的に公衆利益を損なうことになる。

 労働者保護という趣旨は善きものであっても、経済効果、公衆利益を全般的に均衡的に考慮しなければ、とても幼稚な立法になってしまう。

 私が企業中堅研修を引き受けている、Y社の総経理が、「中堅管理職といっても考え方や行動が大変幼稚で、直してほしい」と真剣に愚痴をこぼしているが、いまの中国社会は全体的に成長中であって、成熟社会の日本と比べると、その「幼稚さ」が際立っているといってよい。

 「幼稚現象」。良し悪しは各人の判断だが、まあ、いつまでも子供でいられるのも困るだろう・・・

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