誠実に生きよう、労働裁判になぜ勝ち続けられるか

 「申立人のすべての申立請求を棄却する」
 「申立人のすべての申立請求を棄却する」
 「申立人のすべての申立請求を棄却する」

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 当社が担当したK社A氏、B氏、C氏三人の労働仲裁、いずれも会社の完全勝訴で終わった。会社に届けられた裁決書を前に、担当弁護士と喜び合った。

 この2年、当社が担当してきた労働仲裁と訴訟案件は、ほぼすべて会社側の勝利で結審されている。仲裁や裁判で勝つコツとは、証拠のほか、「ロジック」だ。「ロジック」とは、論理的に様々な要素を組み立て、結論に導くことだ。これは、当方の陳述、答弁だけではなく、争いの相手側のロジックの瑕疵も見つけ出して、一気に相手側の結論を崩していく手法だ。

 法廷では、労働者側とその代理人弁護士は、阿吽の呼吸が取れていないことが多い。一方的に自己主張をしたい。主張できるものはすべて主張する。一、二、三、四とすべて羅列して、時にはこちらの質問に刺激され、さらに五、六と主張していく。すると、ロジックの整合性が失われやすくなり、どこか崩れてしまう。

 当社が担当した案件では、上訴や終審(労働裁判は一裁二審制度)に持ち込まれることがほとんどだ。労働者側は自信満々で、まさか自分の敗訴とは想定しておらず、予想が覆された衝動に駆り立てられ、最後の最後まで戦う闘争心が煽がれたのだろう。

 労働者に有利な法制度を利用して、会社から余分の不当利益を引き出したい。このような労働者が増えている。どんなことがあっても、「誠実」「信用」を忘れてはいけない。法廷では、私は、労働者の目をじーっと見つめる。すると、慌てて目線をそらして行く人がほとんどだ。

 「誠実に生きようよ」

 私は目線でこのようなメッセージを送っているのだが、相手の心に届いたのだろうか。

 一方、K社からは、人事制度の全面改革・構築を依頼してきた。

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