衛生部通達、就業健康診断のB型肝炎検診禁止

 衛生部は2011年2月13日付、「衛生部弁公室・B型肝炎項目検診の更なる規範化に関する通知」(以下、「通知」という)を公布した。「通知」は、各級各種病院の就業健康診断において、本人の同意の有無を問わず、一律B型肝炎の診断を提供してはならないと規定した。

 企業が採用手続時に、変則的な手段を使って応募者にB型肝炎検診を強要し、一部応募者のプライバシーを侵害する事例が多発していることからの措置である。

 以下、B型肝炎関連法令の立法・実施経過をみてみよう。

 採用・労働契約の締結に先立ち、人材の募集活動において差別行為と詐欺行為が禁止されている。その一つが伝染病患者への就業差別行為である。

 「中華人民共和国伝染病防止治療法」第16条では、「国家と社会は伝染病患者、保菌者(病原体保有者)及び擬似伝染病患者に関心をもち、彼らを支援し、遅滞なく治療を受けさせなればならない。いかなる単位及び個人も伝染病患者、保菌者及び擬似伝染病患者を差別してはならない。 伝染病患者、保菌者及び擬似伝染病患者は、完治し又は伝染病の疑いが排除されるまでの間には法律、行政法規及び国務院衛生行政部門により禁止と指定された当該伝染病の拡散につながりやすい業務に従事してはならない」と定められている。

 このように、労働者の就業地位、就業機会及び就業条件の平等を定めており、伝染病患者、保菌者(病原体保有者)及び擬似伝染病患者の差別禁止を明文規定している。

 元労働部はさらに詳細として、雇用単位はB型肝炎の病原体を保有することを理由にB型肝炎保菌者の採用を拒絶し、又は解雇してはならないと定めた。また、雇用単位の募集採用の過程においても、実需に応じ肝機能検査項目を健康診断の基準とすることを容認しながらも、国家法律、行政法規及び衛生部により従事禁止と規定された業務以外に、B型肝炎(HBs)抗原検査結果を強行に健康診断の基準としてはならないと定めた。

 法令は以下の通りである。

 労働部「B型肝炎保菌者の就業権利の保護に関する意見」第2条 「(1)B型肝炎保菌者の就業権利を保護する。国家法律、行政法規及び衛生部により禁止と規定されたB型肝炎の拡散につながりやすい業務を除いて、雇用単位は、労働者がB型肝炎の病原体を保有することを理由にB型肝炎保菌者の採用を拒絶し、又は解雇してはならない。(2)雇用単位の募集採用健康診断項目を厳格に規範し、B型肝炎保菌者のプライバシーを保護する。雇用単位は募集採用の過程において、実需に応じ肝機能検査項目を健康診断の基準とすることができる。ただし、国家法律、行政法規及び衛生部により従事禁止と規定された業務以外に、B型肝炎抗原検査結果を強行に健康診断の基準としてはならない。各級各種類の医療機構は労働者に行う健康診断の過程においてB型肝炎保菌者のプライバシーの保護に留意しなければならない」

 今回の「通知」は、関連規制の厳格化である。

(1) 検診の分割化

 非就業健康診断について、本人からの要求に基づくB型肝炎の診断では、医療機関は受検者署名入りの承諾書を保管するほか、一般健康診断から切り離し、独立したB型肝炎診断結果報告を発行しなければならない。

(2) 結果報告受領者の限定

 医療機関が発行した就業健康診断報告またはその他の健康診断報告は、診察費の自己負担または会社負担に関わらず、受検者本人またはその指定人員のみによって受け取られなければならない。

(3) 結果報告の本人開封限定

 診断報告は完全封印のうえ、目立つ位置に「本診断報告は受検者本人の開封に限る」を明示しなければならない。

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