ホンダ社ストの根源は、日系の人事労務軽視にある

 ホンダ中国ストライキは、5月28日現在、なお収束に向かう気配がない。ストライキの影響で、ホンダは27日、完成車を生産する中国全4工場の稼働を週内いっぱい停止することを決めた。

 読者から寄せられたコメントを紹介する。

 「実際に08年から日系企業のトラブルがしばしばあった。本田ほど大きく取上げられなかっただけ。本田の場合、発端は日本人経営陣が最低賃金に対する理解の行き違いが原因だろう。そもそも、日本人経営者が人事業務を軽く見るのは、本田一社のみならず、ほぼ日系企業全体の通病ともいえよう。まったく、中国の人事の難しさを理解していないための結果だね。少し人事経験のある人ならだれでも、本田のやりかた(発端となった賃金調整のこと)が相当まずいと思うはずだ。もしかしてローカル人事幹部に素直に耳を傾けたら、こういうことにならなかったかなぁ。あるローカル国営企業の総経理に中国では会社中でどの人が一番重要かと聞くと財務総監、人事総監、弁公室主任だと答えた。営業総監でもない、技術総監でもないよ。なぜなら国事情がちがうから、これを理解しきれないと会社の明日もないね」

 要所を突くコメントである。総じて在中日系企業は、品質管理や販売先行で人事労務軽視の傾向が相当強い。

 「就業規則」一つとっても、現在、在中日系企業の9割以上、違法点や問題点が存在する。さらにその中の半分は問題だらけの重症である。――私は、断言する。

 そして、合法性さえあれば大丈夫だと思い込んでいる日系企業もかなり多い。弁護士の合法性審査さえバスすれば、どんな人事行為でも大丈夫だと。ホンダをはじめとする日系企業の責任者は、口を揃えてメディアに、「われわれのすべての賃金制度は合法だ」と言っているが、いかに無力か。

 最近、日系企業の人事現場を回っていると、だいぶ企業の認識が深まったが、まだまだ甘いと思う。「変えよう」と、2~3年前から言っているのに、いまだに、本社稟議を待っている・・・このような企業も存在する。そもそも、遠い彼方にある本社は稟議するに十分な能力をもっているのか?日本企業の意思決定が遅いとはいえ、これは、完全に「不作為」である。

 昨日も言ったが、ホンダはただの序の口だ。