中国は不公平、世の中は不公平、企業は公平ですか?

 日本企業は、愚直なくらい、公平を求める。優秀な従業員がいて、待遇を引き上げようとすると、引き上げる理由や名目を一生懸命に考える。辻褄合わせで、他の従業員との公平を図ろうとする。

 上海市戸籍の従業員Aさんが、外地の日系企業X社に入社した。非常に優秀な方で、待遇を改善したい。総経理が一生懸命に補填手当ての名目を考える。上海市の住宅積立金分に相当する金額を出そうという案が持ち出された。そこで、他の従業員が納得し、公平だろうと。

 私が質問する。では、今度、別の上海市戸籍者Bさんが入社して、業績が全然ダメでも、同じ上海籍のAさんに与えられた住宅積立金相当分の補填手当を求めてきたらどうするか?さらに、外地出身のCさんで、Aさんよりも素晴らしい実績を出したら、どうするか?

 理屈はまったくいらない。理屈抜きで業績の良い従業員には、その分お金を与える。飛び級で昇格昇給でもよいし、特別手当でもよい。しっかりと賃金評価制度があって、根拠があればよいのではないか。あまりにも自然なことで、いろいろ人為的に公平を図ろうとする間に、逆に不公平にはなっていないか?

 そもそも、中国は公平な国ですか?都会人の社会保険は農民にない。交通事故で死亡したら、戸籍によって賠償金額が違う――人の命だって値段が違う……。これは、公平ですか?

 世の中は不公平に出来ている。絶対的な公平は、どこにもない。国も法律も、絶対的な公平を実現できないのだから、一企業など到底できるはずがないだろう。重要なのは、結果の公平ではなく、機会の公平、ルールの公平なのだ。
だから、優秀な従業員Aさんには、堂々と給料の上乗せを払ってあげてもらいたい。何ら名目もいらない。それこそ、公平なのだ。

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