5月17日から始まったホンダ中国のストライキ(注:「日本経済新聞」は24日と報じているが、私の調査では17日だった)は、本格化した。現在中国国内の完成車を生産する全4工場の操業がすべて停止した。労使交渉が妥結できず、協議は物別れに終わり、再開のめどが立っていないという。(ホンダ中国ストライキの背景、経緯、経過と分析の詳細は、顧客向けの「ERIS中国法務・人事レポート」に掲載する)
2010年は、「中国の賃上げ元年」と、私は、セミナーで何回も繰り返している。しかし、この「変化」に連動して、自身の「変化」に迅速に取り組んでいる日系企業は、ごくわずかだ。「ホンダ事件」はただの序の口だ。今年後半、特に万博という大きなイベントが終わると、じわじわと中国各地、特に沿岸部でストライキが常態化するのではないかと私が見ている。
「安い賃金でものを作る」、このようなことを考えている企業は、早急に中国撤退を考えた方が良いだろう。ラオスやカンボジア、バングラデッシュ・・・様々な選択肢を考えなければならない。
中国の中で、新法が出れば、慌てて対応する。このような姿勢では通用しなくなった。先の先を予測して、基本的な経営体質を変えていかないと、中国市場で生き残ることはできるまい。「変化」を口先ばっかり言っていて、何も変わらない、変えようとしない、あるいは変えるスピードの遅い日本企業には、中国の明日は決して明るくない。