「労働契約法」は環境保全の天敵

 「『労働契約法』は、企業人事労務管理の完全なる文書化を求めている。書面で証拠を残さないと、企業はたちまち敗訴する。電子メールは証拠にならない。何でも紙を使わなければならない。だから、『労働契約法』は、昨今のペーパーレス化時代に逆行する法律だ」

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 今日出席した労働法セミナーで、G先生がこう指摘する。

 私が帰宅すると、ある計算をしてみた。

 労働契約を不要とする農村を除いて、中国の都市部労働人口を3億として計算する。労働契約書の締結から解除・終了まで、些細な勤務内容の変更も書面化し、様々な人事行為の証拠保全が必要である。法律の要求通り、厳格に実行すれば、1人の労働者につき1年間50枚の紙は使うだろう(コピーなど複製する場合、もっと使うだろうし、労働者側も控えを取るので、かなりの枚数になる)。中国全土で、「労働契約法」のために、年間150億枚の紙が使われる。

 1本の木からA4用紙5000枚~8000枚とれるようだが、150億枚の紙を作るのに、200万本から300万本の木が切り落とされ、500ヘクタールから800ヘクタールの森が消えることになる。1年間だけで、東京ドーム150個分の森が「労働契約法」で消えるのである。心痛まずにいられない。

 それだけではない。複写機1台のコピー枚数(寿命)を300万枚として計算すれば、年間5000台の複写機が償却、廃棄され、資源の浪費と環境汚染になる。それに、膨大な紙資料の整備にかかる人的資源、トナーなど物的資源の無駄・・・そして、何とその資料を格納するために、蔵書ベースで考えると日本の国会図書館5個分が必要になる。 

 だから、G先生のおっしゃるとおり、「労働契約法」はまさに生態系を破壊し、環境保全の天敵である。

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