複雑な心境で臨む超満席セミナー、企業経営とは何かを再考

 本日の労働契約法改正法セミナーは、満席・増席のなかで開催(上海会場、オークラ・ガーデンホテルにて)。

94723_2労働契約法改正法セミナー(2013年2月21日、上海花園ホテルにて)

 法改正や新法公布でいつもセミナーは超満員。日本企業は本当に順法熱心で、感心するばかりだ。今回の法改正は、正直私はセミナーをやりなくなかった。特段と話すべきことはないからだ。法改正で、労務派遣に厳しい規制が敷かれるようになった。だったら、労務派遣はやめて直接雇用に切り替えればいい。それだけの話だ。セミナーやってくださいという要望が多くて、じゃ20名くらいの小規模で、一部他のほかの内容も混ぜて勉強会をやろうかと、募集したら50名近くの大セミナーになってしまった。

 いわゆる有料セミナーで、顧問企業なら1名無料だが、他の一般参加者は半日セミナーで1800元を取っている。まあ、中国のなかでも一番高いセミナーではないかと思うのだが、見事に席が埋まるわけで、コンサルを全部やめてセミナー屋一本でやるかと冗談を言っていたこともあるくらいだ。半分が顧問企業の無料参加者でも、一回の半日セミナーだけで売上は軽く50万円を超えてしまう。いままで、最高記録は終日セミナーで150万円を超えるときもあった。

94723_3労働契約法改正法セミナー

 利益が出ることは主催者として嬉しい限りだが、正直私はそう思っていない。立花のセミナーに出なくても、しっかりやっていける会社になってもらいたい。それは私の本当の気持ちだ。軽い法改正に翻弄されないで、しっかりやっていける会社になってほしい。

 どうやったら無固定期間労働契約の締結を避けられるのか。無固定期間契約は大敵のように考える会社はいまだに多い。それは異常事態だ。終身雇用はどこも怖くない、社員がしっかり貢献して定着したほうがいいに決まっている。要はダメ社員になってもクビが切れないのが怖いのだ。だったらけん制機能を整備すればいい。それだけの話だ。

 社員の給料がどんどん右肩上がりで怖い。何が怖いのか。利益に連動して社員の給料が上がって、豊かになってもらったほうがいいに決まっている。問題は給料が上がることではない。労働生産性が上がるかどうかの問題だ。あと、ダメ社員の給料を下げるメカニズムを持っているかどうかの問題だ。それだけの話だ。

 中国の中で生産性がもう限界にきている。これ以上人件費が膨らんだら、会社が潰れるというのなら、さっさと中国事業を潰してミャンマーにでも東南アジアにでも行こうではないか。

 「中国でしっかりやっていける会社には、力強くサポートします。やっていけなくなったら、私はミャンマーで待ってますよ」。満場の笑いを誘いながらも、私は辛酸を堪えて涙が落ちそうだった。

 そして、会場でアナウンスした――。2013年年内はすべての中大型案件受注は打ち切る。中国での案件受注は半減させる。

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