連続自殺事件に学ぶもの、世界の工場は終焉へ

 12名の従業員が連続自殺・・・大変悲しいことだが、まだまだ続くかもしれない。

 メディア、世論で揺れる台湾系「富士康科技(フォックスコン)」は、中国各地工場の現場従業員の基本給を平均20%引き上げることを発表した。

 「富士康」は、EMS(電子製品の製造受託サービス)世界首位・鴻海傘下の主力子会社で、深圳で約45万人の従業員を抱えており、中国全土の従業員は80万人超に達する。富士康の深圳工場では今年、従業員の自殺が相次いだ。

 「強権経営」で有名な鴻海の郭台銘董事長がついに賃上げに応じたのは、様々な思惑が交差しているだろう。ここまでくると、薄利の受託生産自身が問題視されるかもしれないので、「富士康」よりはるかに高額な利益を稼ぎ出しているその発注元である米アップルやソニーが値上げに応じる可能性も出て来るだろう。つまり、賃上げの一部は顧客に転嫁するということだ。

 もし、そうなったとすれば、「富士康」のしたたかさには脱帽だ。とはいっても、「中国は世界の工場」という時代が終焉に向かっていることには変わりがない。少なくとも、「安価な工場」ではなくなるだろう。

 「5年以内に、中国の人件費コストが倍に跳ね上がっても、なお利益が出るのであれば、どうぞ進出してください」

 ここ1年、私が日本企業に言い続けてきたことだ。コンサルタントとして、「中国に来るな」というのもさぞおかしいだろうが、私は、「中国ビジネスコンサルタント」ではない、「経営コンサルタント」だから、正直に言っているのである。

 中国に来て利益が出ないだろう、中国に来て損して帰るだろうという企業には、分かっていても中国へようこそというのが、コンサルタントの「無知」を超えて確信犯であればそれは、「犯罪」に等しい。

 中国に来るべからざる企業は、中国に来るな。これからも、私は言い続ける!