喜怒哀楽、人生模様そして中国株

 先日、日本にいる親戚から、「これからは中国の時代で、中国株に熱中で投資している」と聞かされた。とても、言いづらくていえなかったが、本音ではやめたほうがいいと言いたかった。もちろん、私自身も中国株などには投資していないし、投資するつもりもない。

 理由は、簡単だ。短期的売買益狙いならいいかもしれないが、長期保有という観点から、中国企業は適していないと考えたからだ。中国企業のほとんどが歴史的スパンで100年も存続させ、成長させることなど考えていない。中国企業は長期戦略よりも、より中短期的な収益性を重視している。

 東京大学社会科学研究所教授・丸川知雄氏は、次のように語っている(「日系ビジネス」抜粋)。

 「中国企業に注目してかれこれ20年近くなりますが、まず言えることは企業の顔ぶれが目まぐるしく変わるということです。 例えば日本の場合、20年前と今で比べてもトップ10に入る会社の社名はそれほど変化がありません。ところが中国の場合、その入れ代わりが激しい。優れた会社と言われている会社が、すぐに馬脚をあらわすケースが非常に多いのです。 ・・・様々な中国企業が現れては消えていくというサイクルが続きました。中には例外もあるのですが、私は中国の民間企業は「旬」とも言うべき期間が3年間しかないと感じています。そしてそのサイクルは、最近になってますます短くなる傾向が見られます」

 私は、丸川氏の観点に基本的に賛成だ。

 中国の株式公開は、「圈銭(チュアンチェン)」といっている。短期的に大量な金を囲い込むということだ。中国の株式投資は、「炒股(チョウグー)」といっている。「炒」とは、中華料理のように、沸騰した油で食材をさっと炒めて熱々のうちに食べるということだ。そう、いずれも「短期勝負」である。デイトレーダーなら、中国株に挑戦して面白がるかもしれないが、長期保有になると中国株が向いているとは思えない。

 これから10年後、20年後は中国の全盛期になる。だから、中国株を長期保有しようという考え方は、常識に基づく正論だが、果たして中国で通用するのか・・・