靴のサイズと履き心地

 長い連休はまだ続いている。

 まったく休めていない。夜型人間で、午前中はほとんど寝ているが、昼を食べて午後一始まる仕事は、深夜3時まで続く。12時間以上の勤務だ。

 溜め込んだ案件の処理がどんどん進んでいる。T社の評価制度の管理職用マニュアルは3日がかりでようやく仕上げた。

 「立花さんのところ、業務の標準化したら、もっと儲かるんじゃないですか」。ある専門家の助言だ。

 私は無理だと即答した。業務の標準化で、生産性向上につながり、利益も上がることは少しビジネスの常識をもつ人なら誰もが分かる。でも、私の業種は、量産に向いていない業種だ。咳をしていたら、「はい、風邪薬を飲んで」というのはできないのだ。咳をしていて、風邪かもしれない、肺炎かもしれない、アレルギーかもしれない、もっと悪い病気かもしれない・・・一人ひとり、一つひとつ、じっくりと調査しないといけない。

 よく、私は自分の会社を靴屋にたとえているが、靴の量産化は、「サイズ」という規格のもとで行われる。けれど、「履き心地」は決して量産できない。「サイズ」は最も基本的条件だ。法律の言葉でいうと、靴の「サイズ」は「生存権」、「履き心地」は「幸福権」だ。

 さて、「サイズ」だけで良いのか、「履き心地」を求めないのか、それは人それぞれだ。私はあくまでもひたすら「履き心地」を追求していく。

 足は毎日体重を支え、前へ前へと進もうと、人間を運んでいる。そんな足をいたわってますか?これは、私の商売の宣伝だ。