<上海>Maison Poursel、「紅房子」の名で戸惑う

 ジャック&ローラン・プルセル (Jacques & Laurent Pourcel)の店が数ヶ月前に上海でオープンした――「Maison Pourcel」

 双子兄弟。フランス・モンペリエ生まれ。1988年、弱冠23歳にして、レストラン「ル・ジャルダン・デ・サンス」をオープン。1998年にはミシュランで三ツ星を獲得し、一躍有名になる。

46151_1ロブスター紫芋カプチーノコンポート

 フランス料理界の新しい風と称された料理は、「100年後のトラディショナル」をコンセプトに、クラシカルな料理を現代風にアレンジ。従来の重く、濃厚なフランス料理とは一線を画す、フルーツの酸味・甘み・香りを生かした繊細で軽やかな味わいで、食する者の五感をフルに活用させる料理である。

46151b_1トマトコンフィとカッペリーニ

 東京丸の内ビルの35階にも支店がある――「サンス・エ・サヴール」。

 上海店はかなりローカル消費者を意識したメニューを組んでいる。「フランス料理は高いくせに、量が少ない」と言わせないために、値段は抑え目だがボリュームはとにかく凄い。それでもかと一品一品次々と運ばれてくる。私がトライしたテイスティング・コースはなんと11品。メインは魚と肉両方がもちろんのこと、デザートは2品も出てくるという驚異的な大食いフレンチコース。

46151_2フォワグラポワレ

 全体的に、確かに濃厚感よりも、柑橘類を中心にフルーティーなフレーバーで軽快感を出している。そのおかげで、何とか最後の一品までたどり着いた。

46151b_2スズキのロティ

本日の一口前菜3種
ポーチドエッグにカリフラワーソース、キャビアに青リンゴゼリー
冷たい完熟トマトのコンフィとカッペリーニ
ロブスター串に紫芋カプチーノコンポート、オニオンのキャラメリーゼ
フォワグラポワレ、柑橘類ミックスとポレンタのピューレ添え
殻つき帆立貝とグリーン野菜のフリカッセ、トリュフとタピオカビネグレットソース仕立て
スズキのロティ、アサリとレモンビネグレットのコンフィにアスパラガス芽添え
ラムのロティと羊肩肉のサモサクロケットのチャツネ添え、マッシュルームと生姜餅、ミント風味カレーソース仕立て
プレ・デセール
チェリーチョコレートの温スフレタルト

46151_3ラムのロティと羊肩肉のサモサクロケット
46151b_3チェリーチョコレートの温スフレ

 ちなみに、この店の中国語名は「雅克紅房子」という。「紅房子(レッドハウス)」といえば、上海の老舗洋食屋さんである。早くも80年代に多くの上海人が人生初の西洋料理に触れたのが、この「紅房子」なのであった。しかし、あの「紅房子」とこの「紅房子」はまったく別物であって、「紅房子」と見て間違って入ってきた客も多いとか。

46151_48階ダイニングルーム
46151b_46階露天バーで食後の一服

 一見の価値のある店だ。

★フランス料理 Maison Pourcel(雅克紅房子)
<住所>   上海市盧湾区陜西南路35号(長楽路交差点北側)6階(バー)・8階(ダイニングルーム)
<電話>   021-6215-8777
<営業>   11:00~23:00(6階タパスバー)、17:30~22:30(8階ダイニングルーム)
<予算>   500元~1,500元/人