売上拡大放棄の経営路線に切り替える

 年末に近づいた。1年はあっというま。会社の決算作業も準備に取り掛かかっている。

 今年の当社の売上げ(日本法人との連結)は、昨年2009年度比70%増、そして2008年の倍増達成はほぼ確実で、創業以来の最高記録になる。

 コンサルは一本で食べていけない。コンサルは貿易などの付随業務としてしか中国で成り立たない。創業当初いろいろ言われたが、残念ながら、そのような認識は間違っていた。水野真澄氏のコンサル会社も、創業まもなく黒字転換に成功している。そして、私のロイター時代の後輩である木津英隆さんの起業も成功の兆しを見せている。私だけではない。複数の事例で、実証された。

 「大企業出身者で、大企業の看板を背負ってこその成功」という人もいるが、水野氏も木津さんも私も、大企業出身者である。大企業の看板をはずしても食べていける、「大企業看板」説が間違いであることが実証された。

 決算とともに、来年以降の事業戦略を考える必要があるだろう。これまで、当たり前のことを当たり前にやってきた、「戦略なき戦略」で貫いてきたが、いよいよ戦略を考えなくてはならないときがきた。ディテールはこれから検討していくが、大きな方向性は決まっている。

 方針一、従来既定の「事業拡大しない」方針、いわゆる「靴屋方針」を堅持する。
 方針二、これからの3~5年間は、適正利益を確保しつつ、売上げ拡大路線を放棄する。
 方針三、これからの3~5年間は、数少ない「大成功事例」の構築に大部分の資源を投入する。

 「量から質へ」が重点である。日本企業で中国市場においてビッグ・サクセスを挙げる。このような事例を2~3件作り上げることである。対象企業の選定ではかなり苦労するが、本社の理念、ビジョン、戦略方針・路線、現地拠点の総経理・トップマネジメントの姿勢と意気込みといった、いわゆる他者要素が前提であるがゆえに、リスクがないわけではない。それよりも、手広く目先の案件をたくさん取ったほうが利益拡大につながることは重々承知している・・・。

 が、人間は、何十年しか生きていられない。私は、一度小さな歴史を書いてみたい。悔いの残らない死に方でこの世を去りたい。