今回の東京出張は、アメックスカードから無料宿泊の招待を受けて、「パークハイアット東京」に泊まった。
日本にもこのような素晴らしいホテルがあるとは驚いた。
パークハイアット東京といえば、バブル期の象徴として君臨したもので、隣の東京都庁と並び、「バブル遺産」として名高い。
しかし、このホテルは未だに1泊6万円以上もする驚異的な強気価格を維持している。日本中に蔓延するデフレの影響を受けず、館内のいたるところにバブル期の面影が見られるのである。
バブルはどこが悪い?今になってバブルを悪者にしながら、また中国のバブルに便乗しようとする者も少なくない。バブルがはじけるから悪いといったら、じゃ、バブルがないほうがいいのか、せいぜい弾けてもいいから、ひと時のバブル、一夜のシンデレラになってみたい。そう思わないか。
そもそも、「無常」という宗教の概念だが、現象世界のすべてのものは生滅して、とどまることなく常に変移しているということが指摘されている。「バブル」というのも、この「無常」のメカニズムから逃れることはあるまい。いや、「バブル」とは、ずばり「無常」そのものの具現ではないだろうか。
バブルは悪くない。バブルに乗っかろうという人間の欲望もごくごく自然なものであって、非難に値するものではない。そして、バブルはいずれ崩壊する。世の「無常」だけは、千古不変の哲理である。ならば、われわれ人間や企業は、いかにして自分自身を変化させ、この「無常」に順応していくかを常に考え、実践しなくてはならない。
シンデレラたちの一夜(パークハイアット東京最上階のNY Grill)
そう。バブルが崩壊しても生きていける道を捜し求め、そして、サバイバルの力を付けていくのである。企業にしてみれば、「リスク回避」とよくいうが、私は違うと思う。リスクは常に存在する。リスクをひたすら回避しようとするならば、機会の放棄を意味する。不作為自体もリスクの一種である。大事なことは、「リスクの回避」ではない。リスクの取り方である。
どんなリスクに直面しても、怖くない。このような経営スタイルが確立された時点で、企業は永続たるものになろう。
そして、不況だからこそ、バブルを謳歌しよう。