ベトナムから逃げたアメリカ、現実から逃げる日本人

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● ベトナムから逃げたアメリカ

 かつて戦火の地、サイゴン。アメリカは民主主義のために戦うというが、なぜ、共産主義の北ベトナムの勝利を容認し、サイゴン陥落を横目に、最後の一米兵まで戦わなかったのか。米国の傀儡だった南ベトナム政府の腐敗、今日のウクライナがそれに酷似している。

サイゴン川を望む、An Lamリゾートにて

 そして同じ共産国のベトナムを囲い込み、強敵となった中国に対抗しようとするアメリカは何も変わっていない。民主や自由は、今日も売春宿の華やかなネオン看板の如くピカピカチカチカしている。それに陶酔する大衆は、売春宿を訪れる小銭すら持ち合わせておらず、辛うじて保障されているマスタベーションの自由を満喫している。

● 1つの問いから逃げる日本人

 そんな節操のかけらもないアメリカに追随する日本。1つだけ、日本人の誰もが答えようとしない問題がある――。台湾戦争に際して日本の米軍基地を使うのか?あるいは自衛隊を出動させるのか?

 答えが「Yes」の場合、日本は参戦国になる。日本は一方、台湾は中国の一部と認めているため、「中国内戦参戦」「二度目の中国侵略」とみなされた以上、日本本土は中国の攻撃を受けることになる。日本人はその準備ができているのか?日台友好も正義も素晴らしい。そのため、日本人はどこまでリスクを取り、どこまで犠牲を引き受けられるのか?

 フィリピンはここのところ既に「フィリピン国内の米軍基地は台湾戦争に使われない」と言い出している。日本人はどうする?第二次日中戦争に日本が負けた場合、領土喪失の準備もできているのか?さらにロシアは中国の台湾武力統一を支持する姿勢を明らかにしている。台湾戦争の機に乗じて北海道に手を出した場合は?

 美辞麗句、威勢の良いスローガンを声高に唱える日本人似非保守は愛国者ではなく、紛れもなく害国者だ。

An Lamリゾート滞在中

● 最悪のシナリオ

 日本人は身内に親切だが、社会レベルの公徳心が欠落している。社内不正の隠蔽や加担はまさにその好例。その割に正論や美辞麗句ならペラペラとしゃべる。小集団や身内の実利が損なわれようとすると、すぐに引いてしまう。本当なら、台湾が陥落しても日本は助けないだろう。国益レベルでもそうすべきだが、ただ米国との「小集団」で政治家らの私利私欲が絡んでいたら、その限りではない。つまり日本が第2のウクライナになることだ。

 近日のワシントンポスト報道――台湾は戦争になれば、制空権を中国軍に渡してしまう。最悪のシナリオとは何か?

 米国=第一列島線放棄。グアム防衛、第二列島線の死守。
 台湾=中華人民共和国台湾省になる。
 日本=新宗主国を戴く。

● 「民意」無視と民主主義の二重基準

 中国大陸人民の恐らく95%以上が台湾統一を支持している。これは紛れもなく「民意」である。太平洋戦争、第二次世界大戦も同様、日本国民やドイツ国民の「民意」に支えられていた。民主主義は民意ベースであるから、「民意」の中身によって二重基準があってはならない。避けてもならない。

 アンディー・オグレス氏ら米下院議員は4月15日までに、米政府に対し中国の同盟国への資金援助停止を求める法案を提出した。同法案は台湾の主権を認めない国への米国からの援助を禁止することが目的。過去に台湾と断交したコスタリカ、パナマ、ドミニカ共和国、エルサルバドル、ソロモン諸島、キリバス、ニカラグア、ホンジュラスを含む21カ国が対象として挙げられている。

 「台湾から中国に乗り換えた国」を罰するなら、もっとも悪しき前例をつくったのは、アメリカ自身ではないか。自己制裁すべきだ。日本も同類で制裁対象となってしかるべきだ。アメリカの論理的倒錯は、すでに野蛮の域に到達している。

● 中国との付き合い方

 親中・媚中か嫌中・反中。――中国に媚を売るのでなければ、中国と戦う。日本人はすぐに二元論に走る。強かに中国を利用するという知恵はいつまでも生まれない。

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