海辺の小姐とおじさん喧嘩カップル、パレート法則事案学習

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 午後15時、リゾートのプール(ビーチ)サイドは、ほぼ滞在客で埋まっている。海辺に残る唯一の2席の空席にカップルがやってきた。

 50代の香港人おじさんと20代の中国内陸系小姐(いずれも普通話の訛りで判断)。どういうご関係かは各人の推測に委ねるが、いやでも会話が耳に入る。

50834_2木陰と日焼け、喧嘩中のお二人

 小姐 「ここ、日が当たるからヤだ。木陰にしようよ」
 香港人おじさん 「ほか空いてないでしょ。ここでいいよ。日光浴、日光浴」(・・・日焼け止めを塗りはじめる)
 小姐 「何でこんなとこで焼かなきゃならないのよ。ホテルに戻ろうよ」(・・・ホテルのビーチなのに、公衆の海水浴場と勘違い?)
 香港人おじさん 「何のために飛行機でわざわざここまで来たんだよ、私は日光浴がいい。ここで焼きます」(ビーチチェアに寝転がる)
 小姐 「日焼けなんて絶対ヤよ。ほら、あそこ、木陰の席、誰も座ってないから、そこ行こう」
 香港人おじさん 「そこ?タオル敷いてあるし、ものも置いてあるでしょう、人いるよ」
 小姐 「関係ないでしょ。どっか行っちゃってるから、物をどかして座っちゃえばいいじゃないか」
 香港人おじさん 「おまえ、いい加減にしろ。ルールってもんがあるんだろう。まったく」・・・

 パレート最適法則を想起する。

 パレート最適法則とは、一つの状態(資源配分、利益分配)について、誰か他人の利益を犠牲にしないで到達する当事者の利益最大化(極限状態)をいう(換言すれば、これ以上の利益を得ようとすれば、必ず誰かの利益を犠牲にしなければならないということ)。

 香港人おじさんの利益=日光浴を楽しむ。
 離席中のお客さんの利益=席を取られない。
 小姐の利益=木陰に座る。

 小姐の提案①(日光浴中止)は、香港人おじさんの利益を犠牲にし、提案②(他人の木陰席を占領する)は、離席中のお客さんの利益を犠牲にするので、いずれもNG。では、パレート最適になる方法はあるのか。いろいろ思いつくわけだが、どうも香港人おじさんも小姐もそんなことよりも、完全けんか腰になっているようだ・・・

 で、よく考えると、香港人おじさんと内陸小姐が一緒にタイのリゾートまでやってきたこと自体、「パレート最適」状態ではないかと一瞬に思った。ただし、他人の席を横取りさえしなければね・・・

 あっ、そうだ。もちろん、不倫の旅ではないという仮説が成立する場合の話だが(奥さんの利益)・・・

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