風評リスク

 杭州市で、ある男性がインターネット上で「福島第一原子力発電所の放射能漏れによって、わが国の山東海域が汚染され得る」云々の虚言を発信した疑いによって、公安局に身柄を拘束された。本人は容疑を認めているため、行政拘留10日と500元の罰金処分を科された。

 無責任なデマを流す人は悪いが、デマを妄信して風評買い溜めに走る人たちにも問題が大きい。何事も自分なりに考える力、中国の大衆は平均的にこの種の思考力が欠落している。行き着くところ、「世の中たった一つの正解しかない」教育の弊害が大きいことが明白だ。

 ある結論には、必ず論理的な演繹推理が必要だ。つまりロジックを組み立てて、結論に導くわけだ。演繹推理には、事実、根拠、たとえば放射線汚染というような題材には、科学的な論拠も欠かせない。生半可な中国国内経由の情報しか知らず、到底深い知見など持ち合わせていないド素人がデマを流し、そのうえ、ネットの強力なメディア性が負の機能をし、風評リスクが増幅する。

 ある意味では、新種の中国リスクでもある。

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