日経ビジネス誤報全面修正とお詫び、中国スペシャリスト問題露呈

 私が日経ビジネスに指摘し、誤報の訂正を求めた件、「2011年03月28日 日経ビジネス『デマ』引用か、しかも『塩買い占めデマ』レポート」に対する日経側の回答は、一言お詫びもなく、外交辞令的な応酬と単なる「追記」にとどまっていた。

 誠意を感じられない。天下の日経がもつべきプロらしき姿勢とは何か・・・。日経側に再度説明を強く求めたところで以下のメールが返ってきた。

 「このたびはご迷惑をお掛け致しまして申し訳ございませんでした。お詫びいたします。誤った記述の部分を修正しましたのでご確認いただけましたら幸いです。また、今回このようなご指摘をいただき誠にありがとうございました」

 日経ビジネスは、掲載記事の問題個所に対して全面的な修正及び「お詫び声明」を行ったことも確認された(下記写真画面参照)。

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54475b_2日経ビジネスOnline修正後の画面(11年4月4日17時撮影)

 最終的に、日経側が取った真摯な対応に敬意を表したい。ただ、2回目の再質問を受けてようやく実質的アクションをとったことで、ある種の「大企業病」の症状を感じずにいられない。

 私個人的に、日経ビジネスから数度と取材を受け、関連内容を掲載されたこともあった。思い起こせば当時の支局長たちが、何度も内容の確認を行い、大変丁寧な仕事だった。

 今回の問題は、読者からも指摘された通り、最近いわゆる「中国スペシャリスト」の乱立にあるのではないだろうか。今回の問題記事のように、ただの「ネット書き込み情報」を「メディア配信情報」扱いしていることに、さぞかし驚きを禁じえない。たまたま、「中国国内のデマ」を報じるレポート自身が「デマ情報」を流用していることは、これ以上の皮肉はなかろう。

 中国語のインターネット上では、情報が氾濫している。ただネタをかき集めて翻訳するだけなら、翻訳家で間に合う。「スペシャリスト」である以上、検証の責任を果たしてもらいたい。せいぜい著作権法に基づいて、出所の明示くらいはしっかりやってもらいたい。もちろん、本質を突く洞察力と気鋭の観点も求められる。

 スペシャリストとは、情報の商人ではなく、情報の職人である!