日経ビジネス「デマ」引用か、しかも「塩買い占めデマ」レポート

 「日経ビジネス(Online)」の、「塩買い占めデマ」を報じるレポート自身に、まさか「デマ記事」が引用されたとは?

日経ビジネス(Online)「世界鑑測 北村豊の「中国・キタムラリポート」 2011年3月25日(金)「『放射能に効く!?』食塩買い占め騒動」には、以下の一節が記されていた。

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 「17日付でメディアが報じたところによれば、前日の3月16日に浙江省慈渓市で、男性が放射能汚染を恐れて食塩を大量に摂取して死亡していた。男性は食塩の大量摂取で人事不省に陥り、発見した家族によって病院へ搬送されたが、応急手当の甲斐なく死亡したのだという。この死亡を報じたメディアは、『この男性は今回の日本の地震による日本本土以外で最初に亡くなった被災者となった』と嘲りを込めた表現で記事を結んだ」

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 上記のいわゆる「メディア」とは、どこのメディアなのか、疑問に思った私はネットを検索した。しかし、「男性食塩大量摂取死亡事件」について、ネット書き込みしか見つからない。まさか、「書き込み」もメディア???・・・

 さらに、検索すると、「男性食塩大量摂取死亡はデマ、慈渓衛生局否定の声明」との記事≪注≫があった。以下抜粋邦訳する≪注:中国中医薬管理局・鳳凰網ifeng.com(香港フェニックスTV)合弁運営サイト≫。

 「・・・昨日までこの情報(男性食塩大量摂取死亡事件)は、新浪ミニブログで141回も転載された。記者は『百度』で『慈渓、食塩、死亡』といったキーワードで検索すると、5万1100件もの検索結果が得られた。慈渓で果たしてこのような事件はあったのか?」

 「慈渓市衛生局・朱勝軍副局長は、『このような事件は存在しない。デマだ』と否定した。朱氏は、3月17日午後に、市民からこの事件の信ぴょう性について衛生局に問い合わせの電話があったことを明らかにし、『私たち衛生部門は突発事故専門報告制度を設けており、現時点、慈渓市のいかなる病院からも食塩大量摂取死亡関連の報告を受けていない』と、事件を否定した。慈渓市婦人幼児保健院の黄書記も、食塩摂取死亡事件について聞いたこともなければ、病院もこのような患者を収容したことはないと説明した」

「塩買い占めデマ事件」を報じるレポート自身が、まさか、「デマ記事」を引用したとは、さぞかし信じ難いことだろう。

 インターネットの発達で、従来通信社配信のニュース以外に、いまはいわゆる「ネット書き込み」が氾濫している。信憑性に問題があり、怪しい情報ないしデマも多数含まれている。私自身のブログでも、「ネット書込み」情報を引用することがあるが、必ず出処を明示することにしている。「災害デマ」や「風評」を報じるレポート自身が、怪しい情報を「メディア発」と名付けて発信することであれば、かなり深刻な問題ではないか。しかも、名門経済誌の有料サイト・・・

 日経ビジネスへ説明を求めることにする。

<本記事の引用URLは、すべて北京時間2011年3月27日1時30分現在アクセスしたものです>

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