犬飼い攻防戦、釣った魚に餌をやるか?

<前回>

 犬を飼うことで、マンションの了解を取ったのは良いが、次の賃貸契約書の条件変更も大変。マンション側が提示した「犬が吠えることで近所の迷惑になった場合、賃貸人(マンション)が飼育の中止を求める権利を有する」と言う条件は、絶対飲めない。「どこまで吠えたら、迷惑になるのか」、「迷惑とはどのようなものか」の定義付けが不明確です。解釈によっては、一声でも吠えたら、マンション側がすぐに飼育中止を私に要求できることになります。それじゃ、話になりません。

24419_2野性が残っているゴン太です

 それをいうのなら、対抗条件があります。「賃借人(私)は、いつでも1か月の予告期間をもって賃貸契約を無条件に解除することができる」という「随時解約権」の設定を要求しました。通常は、途中解約すると、保証金(敷金)が戻ってこなくなりますが、「随時解約権」があればいつでも解約できるし、保証金も取り戻せます。

 要は、大家さん(マンション)から、「犬がうるさいぞ、もう飼わないでください」と言われたら、こちらは、「分かった、じゃ、すぐに賃貸契約を解除して出て行きます」と対抗します。賃貸は、いま借り手市場で、こちらが強いわけですから、顧客を失いたくない大家も勝手に犬にクレームを付けられなくなります。

 最終的に、マンション側が完全に折れて、「犬吠える」条項の完全削除に応じるだけでなく、私の「随時解約権」もなおかつ盛り込まれ、私の完勝で契約更新にこぎつけました。

 話を戻しますが、犬を飼える飼えないような原則問題は、交渉次第で、これだけ状況が変わるのも、中国ならではのことです。規則よりも、経済的利益が最優先。

 今回のことで、もう少し、仮説を変えてみましょう

 私のような既存顧客ではなく、ある新規顧客が、犬が飼える条件で入居契約を結びたいと申し出た場合、どうなるのか?恐らく、半年の交渉どころか1週間ですぐに「イエス」の回答が出るでしょう。中国は、「老顧客」よりも「新顧客」を大切にする傾向はありませんか?経営学的は、新規顧客を獲得するコストは既存顧客を維持するコストの5倍も必要であると言われています。なぜ、新顧客ばかりに目を向けてしまうのでしょうかね・・・

 「老顧客」になっていると、知らないうちに品質が低下したり、「新顧客」よりも不利な取引条件を押し付けられたりする、このような経験はありませんか?

 「釣った魚に餌をやらない」といいますが、中国の場合、「釣った魚に餌を減らす」ですね・・・

<次回>

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