正直者が馬鹿を見る、「悪」よりも「善」が損する中国のゆがみ

 鈴木隆義さんのブログ記事「違法張り紙罰金」を読んだ。僭越ながら、事件に関連してコメントをさせてもらう。

 技術員募集の張り紙広告は、現行法令に照らして、確かに違法行為にあたる。

27332_2ほとんどの張り紙広告は携帯番号だけ(綿陽地方城管局資料写真)

 「上海市人民政府令」第9号・「当市流動戸外広告の管理強化に関する通告」「落書き・宣伝物若しくはスローガンの無断配布・掲出行為の管理強化に関する通告」(2009年1月4日公布)第1条、第3条ならびに第4条等の適用で、違法行為として摘発・処罰対象となり、10万元(最高)以下の罰金が科される。

 鈴木さんが言っている「電話番号没収」とは、「電話使用強制停止」のことだと思う。

 違法行為が見付かると、違法広告に掲載された電話番号に、「城管」執法部門(都市管理・法律執行部門)が電話し、期限限定で違法者を呼び出し、罰金などの処罰をする。期限までに、違法者が出頭せず、処罰を受けない場合は、「城管」が電話局に通報し、当該電話番号の使用をとめる強行措置を取る。

 問題はここ。違法者の多くは、プリペイド式携帯電話番号を使っている。仮に電話が止められても、大した損害はない。わざわざ高額な罰金を払いに出頭するよりも、携帯電話番号一つ捨てればよいだけの話だ。じゃ、出頭しないと、逮捕されるかというと、まずそのようなことは滅多にないと思う。違法行為は、必ず「現行犯逮捕」、つまり、違反者本人行為を特定する証拠が必要だ。極端の話、呼び出されても、うちの会社の住所や電話番号は公開しているし、誰かのいたずらなのかもしれないと否認すれば、違反者本人行為を特定する証拠が不足し、「現行犯逮捕」が難しくなる。

 そこで、正直者がバカを見る。呼び出されるまま出頭すれば、違反事実を自ら認めることになる。「はい、罰金ですよ、払ってくださいね」ということになる。

 鈴木さんのような、本当に過失に起因し、しかも、自ら非を認め、わざわざ出頭する善良な方は、残念ながら、中国では損をする。逆に、悪意の確信犯は、いつまでも法的制裁を受けることなく、悪をやり続けるのだ。

 これは、「性善説」と「性悪説」の誤認であり、日本人の「常識」と中国の「非常識」のすれ違いである。だから、中国では、何も「悪人」をやる必要はないが、「善人」でありながらも、「性悪説」でものを考えないと、「悪人」として扱われてしまうことがしばしば発生する。

タグ:

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です。